五層 11 処刑
今にも処刑されそうを形にしたような女がいる場所に向かうと女と白装束が和気藹々と話していることがわかった。
「奥さん、今日は雲ひとつない青空で絶好の処刑日和だね」
「こんなにいい日和だと絵画にしてもらえるかもしれないわ」
話してる内容は狂気じみているのだが、満面の笑みを浮かべているので、なんとも言えない気持ちになる。
なんだが非常に口を挟みづらい。
「処刑されるっていうのにえらく上機嫌ね」
俺が気後れしているとミカエルが、構わずに突貫していく。
いきなり話しかけられた二人はポカンとした表情を浮かべたが、白装束の方はハッとしたような顔になって放心した状態から回復する。
「朝方訪れられた旅のお方たちですね。あなた方、外の人間にはわからないでしょうが処刑ー死は我々、不死者にとっては寿ぐべきことなのです」
「死ぬことがいいことね。あたしは死ななくても死にたいとは思わないけど」
「死ななくなれば、ずっと生き続けることの苦痛がわかります。あなたたちもここにいて不死者になれば自ずとわかるでしょう。ーーではおまたせしました、奥さん。処刑します」
「ええ、お願いします」
白装束はそう不穏な言うと迷いなく、青色のオーラを漲らせたサーベルで女の首をはねた。
飛んだ首を白装束がキャッチするとリッチャンがボソリと呟いた。
「あの女死んでおらんな」