四層35 外
「イルマス,ここの床を壊してくれないか?」
「いきなりなんでここを」
「心の声から推測するにこの下にファイルがいる可能性が高いからだ」
「いきなりこの下にファイルさんがいると言われてもにわかには信じがたいですが…」
イルマスは下に向けて目を向けると、大剣を出して大きく掲げた。
「壊して見ないとわかりませんね」
ガゴンという地を割るような破砕音が聞こえると地面が吹き抜けになった。
「僕が行くので、合図をするまで待っておいてください」
奴はそう言って迷いなく、砂埃が消えていないそこに降りていく。
それを見送るとすぐに金属と金属が擦り合うような戦闘の音が鳴り響いた。
「ボスがファイルさんに向けて術式を展開しています。チャンスです」
イルマスのその言葉を聞きつけると俺たちは一斉に階下に降りる。
すると降りた先には術式から逃れるファイルと流動する鉄の塊と戦闘するイルマス。
そして両者の間に置いて、たたずむ金髪の男が見えた。
すかさず弓を引き絞ると同時に男が口を動かした。
「さすがに人数が多いな。師匠以外には別の空間に飛んでもらおう」
そう男の言葉を聞き取り、矢を放つと同時に地面と周りに違和が走り、気づくとボスの間の入り口が見えた。
「飛ばされた!?」
常識外のことをされ周りを確認すると背後に他のメンツも全員いることがわかった。