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四層⑲ 人間
完全にオーバーキルだったな。
イルマスが先行しているときは、複数来る場合を除いて奴に任せた方がよさそうだ。
それにしてはホムンクルスというのは実に人間に似通っている。
「文字と胸の魔法陣さえなけりゃ、瓜二つだな」
光に変わっていくそいつを見ながらそう呟くと、扉が開く音がした。
見ると突き当りの壁がなくなり、かわりに三体のホムンクルスが立っているのが見えた。
奴らは頭の文字だけで、|胸の魔法陣は刻まれていない《・・・・・・・・・・・・・》。
直観がまずいと告げた。
光に変わりつつ魔法陣を活性化させ始めるそれを蹴って遠ざけると。
何やら詠唱を始めた三体の内一人に矢を飛ばしながら、「下がれ!」と声を飛ばす。
他の面子も気付いていたようで俺の声が聞くか聞かないかのタイミングで後方に下がり始めた。
一拍遅れて倒したホムンクルスが爆発し、直近の壁の魔法陣が活性化しているのが見えた。
「壁もか!?」
俺がそう気づき、爆発に巻き込まれるかと思うと、ナイフとファイアーボールが残り二体のホムンクルスをしとめた。