四層⑯ 盾
早速エリアの使ったと思われる転移陣を使用した。
転移陣の先には、壁一面に描かれた大きな魔法陣と巨大ゴーレムが居た。
大きな二つのものに視界を支配されて気付かなかったが、目を下ろしていくとそのすぐ足元で修道女が杖を振るっているのがわかった。
エリアだ。
どうやらアンデッド以外には攻撃手段を持っていない聖職者なので、杖で応戦していたらしい。
よく生きてるな、コイツ。
俺が同じ状況で在れば、今頃ひき肉になっている。
「エリア、アンタぁ!」
どう近づいたもんかと頭を悩ませていると、ミカエルが絶叫しながら彼女の下に突っ込んでいた。
巨大ゴーレムがそれに呼応して拳にミカエルに突き出すが、ミカエルは回避する素振りも見せずに盾を前方に突き出して駆けていく。
人ほどもある大きな拳がミカエルを打ち据えるかと思うと、拳は砕けて巨大ゴーレムは倒れた。
一瞬思考が凍るが、結果とぶつかる瞬間に上下に動いた盾の動きから奴のやった事を推測する。
おそらく、ミカエルはあのデカブツにシールドバッシュをしたのだ。
あんなデカブツに対人専用の技が効くと思う思考回路もいかれているが、それを成功させる奴のステータスもいかれている。
少なくとも目の前の巨大ゴーレムよりも腕力は高いはずだ。
一体奴は何レベルなんだろうか。
「あんたミンチにするわよ!」
「ぎゃあああああああ!」
エリアの下に辿り着いたミカエルは、エリアを小突いてしばき始めた。