二層② ダンジョンポイントとハンドレッドエイプ
「ウキィ! ウキッウキィィィィ!」
プラカードを全員が見ると猿型モンスターは発狂したようにプラカードを地面に叩きつけた。
「キシャアァァァ! フウウウ!」
ひとしきりゲシゲシとプラカードを踏みしめるとこちらに威嚇を掛けて、鋭利そうな牙と爪をこちらに向けてきた。
親切な猿だと思ったがそうでもないらしい。
――ハンドレッドエイプ精神強度LV1
――メンタリズム発動
(見せもんじゃねえぞ! コラぁ! お前ら人間は全員駆逐じゃあ!)
心のなかでそんな咆哮を上げるとハンドレッドエイプは飛び掛かってきた。
矢を番えにかかるとそれよりも先に、ナイフが飛んでいき、猿の胸を穿った。
ハンドレッドエイプはそのまま不時着し、ゴロゴロと地面を転がるとぴっくりとも動かなくなった。
「意外に呆気ないですね。解体して素材でも貰いますか」
そういって、イルマスがハンドレッドエイプを解体しに行くと再度無機質な女の声が響いた。
――ハンドレッドエイプ(1/100)討伐
――ダンジョンポイント10獲得
「なんだこれ、ポイントもらえたぞ」
「そのダンジョンポイントは、攻略⑧によるとダンジョン内の迷宮都市で使えるポイントらしいです。どれだけ獲得したかメモしておかないと……」
俺が上げた疑問の声にファイルが攻略⑧の紙束をめくりながら答える。
昨日の取り決めでは迷宮都市というものがあるから、とりあえずそこまで行こうとしか決まってなかったのに、そこまで熟読したらしい。
魔術師の知識欲のたまものという奴だろうか。
「便利なポイントがもらえるもんだな、ここ」
俺がそうごちると木々から葉が揺れる音がして、「キィ! キィ!」という猿の嘶きが聞こえた。
「おお! 猿が俺達を歓迎してるぞ!」
グラシオが喜びの叫びをあげると猿の群体がこちらに接近しているのが見えた。
「なるほど、こんだけ数が多いからハンドレッドて言うんぜよな」
りっちゃんはその様子から名前の意味するところを察して感心し始めた。
本当に名前通りだったらあと99匹こちらに来るのだから感心してる場合じゃない。
「感心している場合じゃないだろ。逃げるぞ!」