四層⑮ 捜索
まず手短な転移陣に入るとすさまじい数のゴーレムとスライムを発見した。
その後当然のように襲い掛かられたので処理したが、爆発と体当たりのオンパレードでひどいめにあった。
そして現在、その先に会った転移陣に乗って元の転移陣だらけの部屋に戻って来た。
「戻って来たな」
「そうね」
「こんなもんしらみつぶしにやっていたら五体満足ではすまんだろ」
「でも他に方法ないじゃない。地道にやるかしかないわよ」
「いや、手段なら一つ存在あります」
俺の愚痴にミカエルが真面目腐ったことを言うと、ファイルが進言してきた。
「なんだそれは?」
「探索魔法です」
「探索魔法。そんな便利なものがあるのなら何で使わないんだ」
「いえ、私が使ったこともない上に、前世の記憶のもので記憶の浸食が起こるかもしれませんから」
噂で来世に記憶を存続させる魔法使いもいるとか聞いたことがある。
こいつもそのタチの魔法使いってことか。
「かもしれないってことは試したことはないのか?」
「ええ、特に必要もなかったので。どれほどのことになるかはわかりませんがちょうどいい機会ですし、一度試してみてもいいかもしれませんね」
「まあお前がいいと言うのなら俺が何かくちを出すことはないが」
「では早速ためしましょうか」
ファイルは若干高揚とした様子で俺たちの一歩前に進み出た。
自分を実験台にしてるのに気おくれしていないようだ。
まったく持って正気に思えない、俺は逆立ちしても魔法使いには慣れなさそうだ。
ファイルはエリアの名前をフルネームで呟くと青白い光の玉が左隅の転移陣に飛んでいた。
「エリアさんはあそこに言ったようです」