104/375
四層⑩ 邪神像
近くに会った階段を使って降りていくと、大きな火の柱とその柱を中心に広がる町の風景が見えた。
地上とは違いフードを被った人間でごったがえしており、活気に溢れている。
「えらく様子が違うな、ここは工房じゃないのか」
「工房では在りませんが、サバトの会場に似通った雰囲気を感じますね」
「なんだそれは」
「秘密裏に行う魔術師の研究発表会みたいなものです」
ファイルの説明を聞きながら、通りを進んでいく。
まずは掲示板もしくは教会を発見できればいいが。
「ちょっと、そこのお兄さんたち」
町並みに目を這わせていると横合いから呼び止める声が聞こえた。
声の主に向けて視線を向けると、妖艶な雰囲気を醸し出す白髪の女と魔物をごっちゃまぜにしたような見た目の禍々しい像を発見した。
「この邪神様にお祈りしていかない?」
あからさまに怪しいので俺がスルーしようかと考えると、ファイルが誘いに乗って手を合わせて祈りを捧げてしまった。
邪神像は徐に光り始めた。