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四層⑥ 居住区画
「天井壊したから上に上がれるわよ。あんたたちも早く上がってきなさい」
ミカエルがそう叫ぶと階段は完成した。
上に何が広がっているのかは分からないが、これで上の攻略も進められるようになる。
「すぐに迷宮都市だとありがたいが」
「全然ありがたくないわよ」
俺がぼやくとエリアがそんなことを呟いた。
階段を上がった先には焦土が広がっており、その先にはところどころに廃屋が見える町があった。
「あれがここの迷宮都市ぽいな。それにしても下に色々とものがあったのに対して、不気味なくらいにガランドウだなここは」
「魔法使いは基本工房に籠ってますから、居住空間は生活痕が薄くなることが多いんです」
「なるほどな」
ファイルの話しを聞きながら焦土の上を歩いていく。
それにしても何もなさすぎる。
いつもなら魔物が出てきてもいいはずなのに、影すら見当たらない。
なんだか妙に怪しいので周りを警戒して見てみると地面がわずかに動いたのが見えた。
すかさず矢を打ち込むと、ぬめぬめとした粘液質の生物が擬態を解いて、こちらに立ちはだかった。