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小さい頃、家族で図書館に行くのが休日の楽しみだった。
本が好きだった父に連れられて、私は毎週新しい本を借りては読んで、返して、借りてを繰り返した。
その中でも、ファンタジー小説が大好きだった。それは中学二年生となった今でも変わらなくて、学校の図書室で毎日のように本を借りては読んでいる。
本を読んでいる間は、嫌なことを忘れられる。本を読んでいる間は、現実世界のことを考えなくて済む。本を読んでいる間は、見たくないものを見なくて済む。本を読んでいる間は、寂しさを感じないで済む。
ファンタジーの世界の中に自分の身を投じることで、私は現実世界を離れることができた。
――けど、まさか。
その本の中みたいな魔法の溢れる世界に、自分が本当に足を踏み入れることになるだなんて、誰が予想できただろうか。