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無と技と

 アンガスが目を開けた先にあったのは、天井。この天井は覚えがある、アンガスは少し考える。それは周りを見るだけで、特に必要なかった。アンガスが仰向けで寝ているベッド、その周りを囲むカーテン。そうか、ここは医務室か。前まではほどほどに利用していたここの天井は、アンガスにとって見慣れたものであった。前、というのは、青山が来る前。それは亮が転校して来る前でもあった。落ちこぼれだから、そう理不尽に蔑まれていたのは、彼らによって解消されたのだった。夢のような日々だった、ここ最近の出来事は、アンガスの今までには考えられぬほど有意義なものだった。青山と出会い、亮と出会い、エリナと出会い、―――そして自身と出会った。青山は自身と向き合う機会を、亮は非日常だった平穏な日常を、エリナは自信と現実を、アンガスに与えた。彼らだけではない、リリーには過去の自分を見せられ、ティーダには過去の払拭をさせられ。アンガスの周りは、試練に囲まれていた。試練、そういうと大層なものばかりで構成されていると思ってしまうが、そうでもない。低い山があるように、大小は何事にもある。彼は成長し変化する、周りを置いて、周りを巻き込んで。きっと立ち止まることもあるだろう、だが彼は下を向かない。先を求めずに、目を背けることは、必ず探求者(シーカー)はしない。アンガス・シーカーという名は、彼のこれからの生き様を表しているのである。

 医務室の扉が開く。ベッドの上のアンガスの目に最初に飛び込んだのは、意外なのか必然なのか、エリナであった。ここまで連れてきてくれたのは、エリナで間違いないだろう。だからまずは感謝を述べよう、それが彼女への義理だ。


「ああ、エリナさん。ありがとう、僕は重かったでしょ?」


 恥ずかしさがないわけではない、だからアンガスは少し冗談を混ぜる。口ではなんともないような風を装っているが、身体は正直なのである。動かせないわけではないが、その度に激痛が走る。

 エリナはアンガスの問いには答えない、しかしアンガスとの会話には応えよう。


「何故?」


 それは漠然としたもので、アンガスには伝わらなかった。だからといってエリナは、二度は繰り返さない。もしかすると、それはアンガスへの問いではなく、自問の類であったのかもしれない。アンガスが回答に困っていると、エリナは話を変えた。さっきの質問などなかったかのように、アンガスからの質問にようやく答えた。


「確かにね。今までに人を背負ったことがなかったから。こうも重いものだったのね」


 エリナは肯定する、それが彼女の率直な感想だからである。実際、女のエリナには男のアンガスには重かったであろう。明白な人助けをしたことのないのだ、人を背負うということの重みは初体験なのである。重い、想い。アンガスが戦っていた人、エリナの名前を呼んだ彼は、確かな意志が感じられた。それはアンガスも同じである、己が道を突き進む彼らは輝かしい。結果だけを求めていたエリナとは違う、過程を求めたのだ。学校からの評価など、目的には必要ない。わき目も振ろう、道草も食おう、しかし歩みは止めない。

 ―――ああ、だからか。だからエリナはアンガスの後を追いかけたのだ。教師でなくても、彼女の前に道を示したのだ。彼はその気はないだろうが、その歩みは確実に後ろに道を作る。なんて楽なのだろう、獣道とは月と鼈である。ついていくと、引っ張ってもらうと、よくわかる。余裕が出てくると、周りが良く見える。もしかすると無駄遣いをしていたのかもれない。エリナは物思いに耽る、というと大げさかもしれないが、アンガスとの絡みはその間はなかったわけだ。故に沈黙、故にそれを破るのはいつもアンガスである。


「エリナさん、試合はどうだったの?合間に僕のところに来てくれて、大変だったでしょう?」


「私は貴方に負けたの。試合なんてないわ」


 アンガスは驚きの声を上げる。確かにアンガスの一言で、エリナの勝利になったのだ。それは互いの利害が一致するはずの結果だったはずだ。少なくとも、そうアンガスは考えていたのだ。しかし違った、結局のところはアンガスの独りよがりな考えであったのだ。アンガスはばつの悪い顔をする、それは彼の感情を認知する手助けになる。


「気にしなくていいわ。それが出来るのは勝者の特権よ」


 エリナは励ましたのではない、教えたのだ。初めて勝者にまで上り詰めたアンガスに対して。それが先を行く者の務めであるから、勝利こそ絶対なる正義であるから。アンガスは何も言えない、エリナが負けを認めているから。これ以上アンガスが何を言ってもエリナを貶めるだけ。故に沈黙、なればそれを破るのは珍しくエリナだった。


「私はもう行くわ。貴方はどうする?」


「―――うん、すぐ行くよ」


 動けるようになってからだけどね、そうアンガスは付け足す。エリナは医務室の扉を開く。その口元が綻んでいたのは、きっと気のせいではないはずだ。

 彼女と入れ違いで訪れたのはアンガスの友人。アンガスに近付くなり、こういって静寂な部屋の空気を破ったのだ。


「おう、アンガス。調子はどうだ?―――そういえば、エリナ・テルフォードだったか?あいつって笑うことあるんだな。びっくりだよな」


×××


 教師たちは異様な空気に、皆が口をつぐんでいた。アンガスがまさかトーナメントをあんなに上がるなんてと思っているのだろう。それに関しては僕も驚くことがあった。あそこでアンガスが降参するとは、考えもしてなった。そしてアンガスと剣戟の操者との争いも。それだけではない、エリナの棄権も前例がないためだ。それに加えて、それをだれかがエリナの親に知らせたようだ。つまりは三元帥の一人、技を司る元帥に。過保護というのだろうか、僕への訪問をすぐに決めたそうだ。教師たちは臆しているのだ、これから来る元帥という最高位の人物に。その教師たちに、もちろん僕も含まれている。マードック家の当主のときとは、同じで違う状況。僕を消そうと思えば、一声で出来る権力。それを自身で実行することも可能なのだ。僕はその時を静かに待っていた。




 呼ばれた校長室のソファには、もうエリナの母である技の元帥が座っていた。校長はというと、かわいそうなことに彼女の相手をしていたのだ。相当気を使いながら言葉を選んでいるだろう。その話を聞いているのかいないのか、彼女の反応は乏しかった。


「おお、青山君。待っていたよ」


 校長は僕を見つけた瞬間、僕に白羽の矢を立てる。その顔からは安堵の気持ちが伺える。


「遅くなって申し訳ありません。私、エリナ・テルフォールの担任である青山と申します」


「君が青山君ね。校長から話は聞いているわ。少し私とお話しましょう」


 二人にして、彼女が校長にそう言うだけで彼はそれに素直に従う。そうして僕は、この緊張感しかない部屋に彼女と二人きりにされたのである。彼女の口調は優しいものだが、いつ機嫌を損ねるかわからない。教師というものは、全く難儀なものである。所謂、モンスターペアレントというやつにも気を使わなければならないのか。しかも現実ではお目にかかれない、文字通り最強の、である。

 それで、彼女はそう切り出す。


「エリナがトーナメントを棄権したそうですね。しかもおちこぼれに勝ちを譲られたとか」


 どうやらテルフォード家が遣わした者は、相当な腕の持ち主だったようだ。アンガスはエリナがそのように思われぬように最善の手を行ったというのに。


「どうでしょうかね。私としても彼ら自身に聞かなくては、事実確認できないのです」


「あら、私の家の者が間違っていると?」


「滅相もありません!しかし一つ事実とは違うことがございます」


 それは誰にも今まで言わなかった事実。勘違いも甚だしい、僕は何度憤慨したことだろう。しかし結果がなく、また実績もない。だが今なら胸を張って言える、そう彼は―――。


「アンガスはおちこぼれではありません。今回の優勝者にも実力は劣りません」


 亮にも劣らぬ実力、これは決して大きく言っているわけではない。実際アンガスはエリナさえも下したのだ。しかしこの事実は彼女には都合の良いものではないらしい。


「なるほど。ならばそのアンガスという生徒に勝ちを譲られたことの信憑性が増すわね」


「しかしそれはエリナも同じこと。事実、彼らはいい試合をしました」


「エリナ?」


 やってしまった、僕は少し冷静さを欠いてしまった。それは後の祭りで、彼女に触ってしまったことは確かなのだ。


「合点がいったわ。最近エリナがおかしいと思っていたの。そう、エリナを唆したのは貴方なのね」


 部屋の温度が上がった気がした。しかしそれは気のせいではなく、彼女の魔術のせいである。彼女もエリナ同様、火の魔術を得意としている。そしてテルフォード家は代々、遠距離からの戦闘を得意とする。だからといって、この状況を打破できる力は僕にはないのだが。

 彼女は火を纏う。熱気は刻一刻と増していく。


「仕方ないわね。貴方は少し邪魔だから」


 彼女はソファの前にある机を叩く。轟音とともにその机は粉々になる。


「大丈夫よ、外には聞こえないから。さてどうするの?自身から消えるか、この机のようになるか」


「どっちにもならない!僕は本当の強さというものを教えなければならないんだ!」


「ああ、そう」


 彼女は淡泊にそう返し、こんな至近距離で特大の火の塊を放つ。これは剣戟の操者でもどうにもならないな。お守りとして持ってきた僕の小説は効き目がなかったようだ。

 僕の物語はここでおしまいだ。心残りといえば、亮と彼。まだ何も出来ていないというのに。




 ―――こうして、物語はまた止まる。歯車を止めていた異物は取り出されて、また混入する。金色に輝くそれはなんと見つけやすかっただろう。そして今度は、世界の最も端に相応しい漆黒の色をしていた。刃の無い剣を携える、異界の黒の王。




 僕の頭の中にはまたもやイメージが。彼は、彼だけは呼んではいけない。なのに、僕を救うのはその方法しかない。歯がゆい、自身の弱さが。すぐ忘れてしまう、この悔しさを。しかし叫ぶほかない、彼の名を。栄光を押し付けられた暴君の名を。


「―――っ、無界の帝王よ!」


 そうするだけで、僕は無界へ足を踏み入れる。目の前が真っ暗になるというが、打つ手がないときにそうなるのだろう。前には光なし、なるほど目の前は真っ黒だった。といっても、大部分は炎の赤を占めている。その火の玉は着実に僕を燃やし尽くそうと近付いてくる。恐れることはない、火の玉が僕に当たることはないのだから。彼の背中は哀愁が漂っている。

 まるで世界に一人きりのように、孤独に佇んでいる。そう、彼の世界には彼一人。彼は最高位であり、底辺でもある。しかし今は関係がなく、この状況を切り抜けるとしよう。

 問題は何も無い、僕は見ているだけなのだから。心配は何も無い、彼の世界には何も無いのだから。火の玉は彼に当たることなく、進行する。何故ならば火の玉は彼の周りのみ消滅する。彼は微動だにしないが、僕らのすぐ横を通過した火の塊は相当な熱量を有していた。熱い、熱気に思わずひるんでしまう。しかしそれも一瞬で、火の玉は、もう玉といえる形状ではないが、僕らの後ろの壁を炎に包んだ。彼女も僕がただ焼かれるだけとは思っていなかったのだろうがこの事態は想定外なのだろう。無傷で僕はそこに立っているのだ。

 それよりも、僕の前に立つ男は誰なのだろう。きっと彼女もわかっている、僕ではなくこの黒衣を身に纏う男が火の玉を退けたのだろう、と。だからこの奇妙な男の突然の出現には、驚きを隠せないのだろう。彼はどんな表情をしているだろうか、いつもの自信に満ちた顔か、それとも・・・。確認する暇は無い、まだ戦闘は終わってい無い。僕には緊迫した状況に息を呑むが、彼はそんなことはない。

 一息つき、口を開く。


「よしましょう、こんな野蛮なことは。ソファにでも座って、落ち着きましょうよ」


 彼はその発言に呆気に取られる僕らを余所に、ソファに深く腰掛ける。座れるソファがあるということは、彼女の火の玉が通らなかったところ。それはつまり、彼女の後ろにある物であるのだ。彼は何の迷いも無く、警戒も無く、彼女の横を通ったのだった。彼女の前で萎縮しない者はいない、いや、いままでいなかったのだ。そう、それは娘でさえも、同じ元帥であっても。それこそが彼女の強さの証であった。

 校長室に三人、それは異様な形状だった。青山と彼が無界の帝王と呼んだ黒衣の男と技の元帥。青山を燃やそうとした彼女の傍で、ソファに座る黒衣の男は相当図太い神経であると言えるだろう。

 凶器を構えた人に近付く物好きはい無い。黒衣の男がしたことは、つまりはそういうことなのだ。加えて彼女に関してはナイフなどの生ぬるい物ではない。この学校など簡単に消滅させることの出来る、文字通りの爆弾である。その爆弾はいとも簡単に着火する。黒衣の男はどうやらそれに長けているらしい。それを自然にするのだ、全くどうしようもなく面倒な男である。


「貴方誰?何処から現れたのかしら?」


 まだ爆発にはいたってい無い。彼女は元帥、こんなことでは怒り心頭に発することは無い。しかしソファに腰掛ける男には怪訝な顔をする。彼女の意識外からの出現、それはありえないことだ。警戒は万全、それを掻い潜るということは相当な魔術の使い手。元帥と同等か、それ以上か。それほどの男を彼女が知らないわけが無い。はずなのに、見たことが無い、計り知れ無い。その黒衣のように、闇のように、そこが見え無い。だから彼女はまず、相手の招待を暴くことにした。


「何、貴方ほどの人に名乗れる名などありません」


「そうかしら。先の魔術を無傷でいなせる者なんてそういないわよ。私が知らないのが不思議なぐらいだわ」


「ご冗談を。あんな手加減した魔術、俺では無くとも他愛無いことですよ」


 黒衣の男は身振り手振りが大きく、不自然なほどである。自信ありげな顔で謙虚なことを言う。彼のところだけが空気が違う、何故だろうかまるで劇のようだ。ああ、彼は虚構に塗りつぶされている。そしてその中身は―――空っぽなのである。彼のいる場所は、次元が違う、世界が違う。


「そして貴方が俺を知らないのは仕方の無いことです。何故なら―――貴方と俺の住んでいる世界が違う」


 黒衣の男は真実を述べた、まさに生きている時が違うのだ。しかし言い方が悪かった、これではこう勘違いされてしまう、貴方など眼中に無い、と。誰が物理的な意味と理解しよう、事実青山も一瞬そう解釈してしまった。

 青山はまた息を呑む、再度部屋の気温が上がっていることに気付いたからだ。それは黒衣の男の方が早く気付いたはずだ。彼は一瞬、眉をピクリと動かす。しかし態度は変えない、それが傲慢で不遜であろうとも、思い上がりで無い実力があるのだった。

 またも彼女は炎を纏う、何としても目に物見せてやろう、そう息巻くのだ。失敗した、これ以上の諍いは望むところでは無い。だとしても、諍いと呼ばれるような可愛いものだったのなら、どんなに良かっただろうか。彼女の炎が朱色から黄色に変わるにつれて、熱気が青山の喉を焼く。息苦しさはどんどん増していき、これほど熱いというのに背筋が凍る。汗をも冷たい物へと変わっていく。そして青山が手と膝を地につく頃には、炎の色は白へと変貌していた。


「それ以上はやめていただきたい。この学校もただではすみませんよ」


 気付くと、彼女と青山を隔てるように黒衣の男が立っていた。それと同時に、青山の感じていた熱気や息苦しさが無くなっていた。青山は黒衣の男によってはどうしようもなく足枷になっている。青山の危機の前では大胆不敵な態度など出来無いようだった。しかし反抗的な態度は崩さ無い、相手に弱みは見せ無いのだ。元帥ほどの実力が無くとも、彼の変化に気付くのは他愛無いことだ。その些細な変化は見落としても大事無いように感じる。それを見落とさ無い、それこそ元帥の強み、その微小なズレこそ大きな隙となるのだ。黒衣の男はそれがわかっている、だからこそ彼は強い、それが彼女の評価だった。突如現れた黒衣の男は強い、相手にするには相応の覚悟がいる。ここで臆するのであれば、元帥という名は与えられ無い。そう、そんな些細なことで彼女の怒りは鎮まったりし無いのだ。不遜、傲慢、それが許される唯一の存在が元帥なのだから。


「だから何?それを許されるのが元帥よ。もし、もし本当にやめて欲しいのならば、態度がおかしいのではなくて?」


 彼女は求める、今までのような尊厳ある自身を。そのために、そのためなら、相手を蔑みもしよう、そして強がりもしよう。それだけでは彼女は止まらなかった。苦悶の表情を見せる黒衣の男に追い討ちをかけるのだった。


「さっきから貴方は他力本願なのね。―――なるほど、エリナもそうやって誑しこんだのね」


 その言葉を黒衣の男の背中に隠れるもう一人の男に向ける。醜く脅える青山はその言葉を聞いて、醜く少しだけ顔を歪める。それとは対照的に黒衣の男の激高に目を見開いていた。彼女は驚いた、順調に追い詰めていたはずだ。彼は感情を前面に出すタイプではないと踏んでいたのに。技の元帥ほどの者が慄いたのだ、恐怖したのだ。そう、身震いするほどに。これが窮鼠猫を噛むというやつなのか、否、黒衣の男は決して鼠ではない。食物連鎖において上位に座す者、彼の目は獲物を狩る目のそれだった。虎の威を借る狐といったところか、それほど彼女には自身の存在を矮小に感じてしまった。それも彼女の矜持を傷つける、黒衣の男はそんなことはお構い無しだった。


「撤回しろ、誰が他力本願だと!?無知というものがどれほどの罪か―――」


 黒衣の男の肩には青山の手が乗せられる。それだけで黒衣の男は我に帰る、不服そうな顔をするも、彼は素直に身を引いた。そしてここで初めて、青山は黒衣の男よりも前へ出た。


「元帥殿、数々の無礼申し訳ありませんでした。どうかこれで怒りを収めていただけないでしょうか?」


 青山はまた手を地につく。今度は自主的に、膝をつく。彼は最大限の謝罪の意を示す、所謂土下座というものだ。黒衣の男は唇を噛み締める、彼の無様な姿が自身のせいだとわかっているから。技の元帥はそれを見下ろし、溜飲が下がったのか、何も言わずに去っていく。校長室の扉に手をかける前に黒衣の男を一瞥し、こう言った。


「貴方、名は?」


「かつて、無界の帝王、そう呼ばれていた」


 そう、そんな簡潔な返しで出て行く。悔しさは抑えきれないほどにある、しかし青山の土下座を前にすると我慢するほか無いのだ。

 その静かな空間に扉が閉まる音が響いた。

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