実行(仮)
ひたすらしげみに隠れてグループが現れるのを待つ。
今の時刻は10時50分。
そろそろ現れる時だと思う。
ガサガサ。
きた。俺はすぐさま銃を構え、狙いをさだめた。
俺がもしはずしたとしてもスパイグループがこの通りを通れば地雷が反応してくれるはずだ。
だから安心して撃てばいい。
・・・だがその時俺は思った。
銃の撃ち方とかしらねえや。
小説の世界に入ると体や身体能力などは物語通りだ。だが、頭脳だけはまんま自分だ。
そう考えてるうちにスパイグループは地雷を置いたばしょ、俺のいる位置を通り抜け、森の中を駆け抜けていく。地雷なんてただ置いただけだった。
俺が置いた地雷はただ置くだけでは反応しない。セーフティーを解除し、適切な埋め方をしなければならない。
場所を確認してみるとそこには、地面にむき出しになった地雷がただ置いてあるだけだった。
俺も領主と同類じゃねえか。
俺はすこし絶望した。だが今はそれどころじゃない。あの足の速さならもうスパイグループは屋敷の内部まで行っているころだろう。早く追いかけないと。
俺は森の中を走り、屋敷へと向かった。
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俺は屋敷の裏口中へ入った。
屋敷へつくと、もう電気は全部消してあり、静かな空気が漂っていた。
もう屋敷内の人はみんな寝ているらしい。
俺は屋敷内を回りながら正面玄関へと向かう。
正面玄関は大広間があり、大きい階段とレッドカーペットが敷かれている。
そして正面玄関をでて外へと出る。
そして早くいい隠れ場所をみつけて待機・・・をしようとしたが、この屋敷の正面はやけに広い庭になっている。俺はとりあえず苗木の裏へ隠れる。
あの小説で読んだ通りいけば、スパイグループもこの場所を通るはずだ。
銃火器が使えなくても手榴弾の使いかたくらいはいろんなアニメでもみてきた。
俺はまたひたすら待ち続ける。
たったったったっ。
来た。ここだ。
すぐさま手榴弾の栓を抜き、狙いをさだめる・・・。だがむこうも止まっているわけではない。行先も予測して狙いをさだめる・・・。
もうすこし前か・・・?
一生懸命狙いを定めようとする。ただし、手榴弾は栓を抜いて一定時間経てば爆発する。つまり早く投げなければならない。
俺はどうしたらいいのか分からなくて適当になげた。すると上空で爆発した。
「早くして!誰かいるわ!」
「ああ、車はもうすぐそこだ!」
「くそ、俺らはいつばれたってんだ!」
しまった。ばれた。
するとスパイグループは車へ乗り込み、16歳の少女はハンドガンをこちらへむける。
「あああ!やべええ!」
俺は屋敷の中にすぐに逃げ込んだ。
なんとスパイたちを逃してしまったのだ。
スパイたちが盗んだのは、この屋敷にある兵器の設計図の一部。
小説のほうではそれぞれの屋敷に一部ずつ設計図があってそれを集めて大儲けするという物語だった。そのなかの一部を盗まれてしまった。このまま盗まれ続ければ本当につまらないまま終わるだろう。はやくなんとかして止めなければ、この物語に刺激はなくなる。
スパイたちが集める設計図は全部で5つ。読んだ通りにいけばまだ2つは残っているはずだ。
だからまだ間にあう。
今からでも武器の使い方を知って、次の場所へ向かわないと。
「まだまだ長くなりそうだ・・・」