計画
そういえばこの屋敷の領主ってどんな人なんだろう。小説のほうにはあまり詳しく書いてなかったからすごく気になる。俺は廊下でさまよいながらただひたすら呼ばれるのを待つ。
そしてその時はきた。
「おい!この屋敷の使い人はどこへいった!名前を呼んでもでてこぬ!なにごとでおじゃるか!」
「はっ!ただいま戻りました!」
俺は適当に使い人っぽくふるまった。本当にこれでいいのかわかんないけどまあいいや。使い人の名前なんて覚えてねえ。てか書いてあったっけ。それにこの領主めっちゃ喋り癖強いな。
「おそいぞフォルグレッド!一体なにをしておった!」
「はっ!警備をしておりました!」
俺は領主に指をさしながら怒鳴られた。
使用人の名前はフォルグレッドっていうらしい。
「警備だと?この屋敷の警備はいらないはずじゃ!赤外線センサーが働いておるのを忘れておるのか!」
「申し訳ございません!忘れていました!」
この屋敷には赤外線センサーが働いているらしい。
・・・じゃあなんであっさりと侵入されたんだ?
「まあよい。フォルグレッド、腹が減った。」
「あ、た、ただいまご用意をしてきます。」
やっと領主と離れられたことだしちょっと赤外線センサーとやらを見てみるか。
そして俺は屋敷を歩いて回った。そして驚いたことが一つだけあった。
なんと、一定間隔で足元だけに設置してあった。しかも機械丸見えだし。肉眼では線は見えないが、機械が見えるせいですべてわかってしまう。
ここの領主アホすぎないか。
そりゃあっさり侵入されるわけだ。
「おい!フォルグレッド!まだか!なにをしておるのじゃ!」
また領主の怒鳴り声が聞こえた。そろそろ領主の声にイラッとくる。
早くいかないとまた怒鳴られるし、さっさといくか。
そして厨房から適当に食べ物をとって領主のもとへ向かった。
「申し訳ございません。遅くなりました。」
「ああ、もうよい!それを置いて休憩をとってこい!そのかわり次遅れたら今度は首でおじゃるぞ!」
「ありがとうございます。これからは二度とないよう深く反省をしてまいります。」
そして俺は領主の部屋をでて、使用人の部屋へ向かった。内ポケットの中のメモに書いてあったから使用人の部屋はすぐわかった。
「はあ、なんなんだあの領主、いらつく!」
俺は部屋の中で小声で言った。
それより、スパイは今日の夜11時には侵入してくる。それまでに用意をしなければならない。
俺は使用人の部屋を隅々まで探った。
引き出しの中や、ベッドの下、タンスの隅々まで。
すると、タンスの奥になにかの扉みたいなものがあった。
「なんだここ・・・。」
扉をあけてみるとそこは薄暗い小部屋があった。
しかもその壁には銃がぎっしりとつまっていた。さらに奥を見てみると様々な爆弾などもあった。
きっとあちらも武器を所持している。これを使えばスパイにも勝てるかもしれない。
俺はもてるだけの武器をその部屋からだした。
持っていくものは、アサルトライフル、ハンドガン、手榴弾、赤外線センサーを見るためのゴーグル。さらに地雷まであったのでついでに持っていくことにした。
あいにく服などは見つからないので最も頑丈そうなスーツのままで行くしかない。
これで準備は整った。あとは小説で読んだ侵入ルートを隠れながら逆走するだけ。俺は作戦を計画し、なるべく一人でいけるような計画を練った。
時刻はもう10時20分になっていた。なのでもう隠れないといけない。俺は屋敷をでて、奥の森の方へ駆けて、茂みに隠れることにした。
懐中時計を見ると今の時間はもう10時45分。スパイが通ってくるルートへ地雷を設置し、待機する。
準備は万端だ。
「さあ。かかってこい!」