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第3話「ピアノの妖精」
「あっちゃーん!」
敦子の友達の智子が迎えにきた
誕生日が同じという
双子のような友達が
小学校の入学式の迎えにきた
母親のいない敦子を気遣って
智子は二人で行こうと思っていた
他の子たちは
母親と手をつないで歩いていく
小学校は二人の憧れの場所でもあった
ピアノが好きな二人は
まだ窓越しに見るだけの
音楽室のピアノが好きだった
今日は入学式
音楽室のピアノは体育館に置かれ
ステージのブローチのように
輝いていた
「見て!智ちゃん!
あのピアノ
まるで妖精のみたいだわ!
クロアゲハみたいに光ってる!」
紅白の幕の隙間から
差し込む陽射しが
ピアノに命を吹き込んだように
妖精の歌が二人に縫い込まれていく




