第8話 勇者様との出会いっ!
第8話 勇者様との出会いっ!
「新しく誕生した勇者に会いに西の森に向かったユウと私、どんな人なのか期待に胸を膨らませ家のドアを叩く。次回勇者様との出会いっ!お楽しみにね」
「開始三行で終わらそうとするな」
西の森についたユウとリーリエは店で偶然拾った地図を元に家を探していた。リーリエが次回に回そうとするがそうはさせない。
「めんどくさくなっちゃった」
「そう言うこと言うのやめなさい、あと少しで着くんだから」
「いや、書くのが」
「余計やめなさい」
根本的問題だった。やる気を出させるために早めに見つける事にした。地図を元に探すとポツンと小さな家があった。
「ユウ、あったよ」
家を見るなりリーリエはやる気を出したのか走って言って家のドアを叩いた。コンコンと二回ノックするが返事はない。リーリエがドアを開けた瞬間家の中から鎧を着た剣士がリーリエに斬りかかった。
「おい!大丈夫か!?」
「うん」
普通の人間なら真っ二つになる一撃だったがリーリエは普通に片手で受け止めた。
「何者だ?」
リーリエから距離をとった騎士は野太い声で聞いた。しかし、剣は構えたままだった。
「落ち着け、俺たちはあんたの噂を聞いてここにきただけだ」
「敵か?味方か?」
「味方だ、正確に言うとあんたと同業者ってとこだな。俺たちも魔王を倒したいんだ」
ユウがそう言うとやっと剣を鞘に収めた。たったの一撃だったがこの剣士の力量は相当なものだった。
「あんたが剣を抜いた人か?」
「そうだ」
改めて見ると意外と小柄だった。これは男だと思って一緒に旅をしていくうちにお風呂でばったりあったら実は女の子でムフフなイベントになるやつだな。そうに違いない、てかそうであれ。
「女の人?」
3話ぐらい引っ張れそうなネタをリーリエがすぐに消化してしまった。もったいないのでツッコミをいれる。
「何言ってんだよ、こんなに渋くていい声の人が女の子のわけないだろ?ですよね?」
「いや、私は女だぞ?声もこの蝶ネクタイをいじると...こんな風に元の声に戻る」
どっかの見た目は子供、頭脳は大人が使ってるアイテムが出てきた。確かにこの可愛らしい声は女の子だった。
「顔だってこんな感じで女だぞ?」
兜を外すと凛々しくも美しい顔が姿を現した。クールな顔立ちで年齢はリーリエと同じぐらいだろう。リーリエとは対照的な綺麗な黒髪で、控えめに言ってとても綺麗だった。
「なんで声なんか変えてたんだ?」
この美少女とのイベントは諦めて聞いてみることにした。
「女だと舐められるからな、それは我慢ならん」
「なるほどな」
確かに女の子だと戦いにおいては舐められることが多いだろう、現にこの前の腕相撲でもリーリエは野次や相手に舐められていたのを思い出した。
「でも、強いよ?」
リーリエを一撃で強いと言わせるのだから相当なものだ、俺は言われたことないけど。
「貴女もかなりのものだ、名前を聞いてもいいか?」
「フィン・リーリエ、リーリエでいいよ、貴女は?」
「私の名はスン・ファストリアという、よろしくな」
「ちなみにこれが私のペットのユウ」
そういえばそんな設定あったな。忘れていた。
「ご紹介に預かったリーリエのペットです、よろしくお願いします」
「そ、その、なんだ、リーリエ達はそういう関係なのか?」
ファーストコンタクトでガッツリ引かれてしまった、確かに女の子のペットはかなりヤバイ奴だと思われても仕方がない。
「冗談だよ、こいつの付き添いのユウだ。改めてよろしくな」
「本当のことん~っ?」
リーリエが余計なことを言いそうだったので慌てて口を塞ぐ。
「冗談がすぎるぞ、気持ち悪すぎてぶった斬りそうになった」
危うくぶった斬られるところだった。この事は隠していく必要がありそうだ。
「悪かったな」
「ああ、それで何用でユウ達はここにきたんだ?」
「その件なんだが、実は強い人を探しててあんたの情報を聞いてここにきたんだ」
「となると魔王関連か?」
「そういうことだ」
察しが良くて助かる、リーリエと違い、話していても疲れなさそうだ。
「あの現れた魔王っていうのを訳あってさっさと倒したい、だから現れた勇者に会いにここにきたわけだ」
ユウが続ける。
「一緒に戦うパーティーへの勧誘ってことだな」
無言で頷く、理解が早く頭の回転も相当なものだ。彼女がいればモンスター討伐も捗る。
「どうだ?一緒に戦ってくれないか?」
「いいぞ、お互いに損はないだろうし。よろしく頼む」
強力なメンバーが加わった。これでクエストも効率的かつ安全になる。
「こちらこそよろしくな」
握手をもって契約とすることにした。
「とりあえず今日は夜も遅くなってきたし泊まっていくといい。晩御飯をご馳走しよう」
「いいのか?こいつすごい食うぞ」
晩御飯と聞いてリーリエがヨダレをだしハァハァいっている。お前は犬か。
「気にするな、食料は貯蓄してあるから大丈夫だ」
「そうか、助かる」
「小さい家だがそこは勘弁してくれ」
入ると確かに小さい。3人で寝るには少し狭いかもしれない。しかし、女の子の家にお泊まりなんて願ってもない機会だ。普段リーリエと一つ屋根の下寝てるが全くドキドキしないのでかなり新鮮で楽しみだ。今夜は最高の夜にしょうと一人心に誓うユウと御飯のことで頭がいっぱいなリーリエであった。
少し開きましたが更新です!
これからは更新ペースを上げていきたいと思います!
これからもよろしくお願いします!