第6話 最弱の恐ろしさっ!
第6話 最弱の恐ろしさっ!
「おい、そんなに先行くと何があるか分からないから危ないぞ」
どんどん進むリーリエを注意する。
「大丈夫だよ?私、ユウより強いから」
そこに関しては否定はしない。否定できない自分が情けないが。
「一応注意はしとけってことだよ」
この子の保護者?として注意喚起はした。てか、この子に弱点とかあるのか?
「そういえばどんな生物なのか受付の人に聞いたの?」
リーリエが立ち止まり聞く。
「いや、詳しくは聞いてない。というか聞けなかった」
「ユウ、使えない」
俺が倒されるのを心からお祈りしてる子に聞けなかった。教えてくれそうにもなかったし。てか本当にこの子は容赦ないな。
「大丈夫だろ。今までは普通の動物しか居なかったらしいから、初見の生き物が居たらそいつがその対象生物だろ」
聞けなかった情報は聞けた情報の中から推測する、元の世界で学んだ事だ。
「なら、初見の生き物が居たらその子をぶち殺せばいいの?」
「なあ、リーリエ。一応この物語のメインヒロインなんだからそんな怖い事言わないでくれ」
メインヒロインの口からぶち殺すは絶対にダメ。
「そいつを死刑台に送る?」
「それは新世界の神になろうとした男の最大のライバルのセリフな」
「なら、風穴あけるわよ!?」
「それは有名な探偵の曾孫の女の子が主人公によく言う口癖だ」
「なら…」
「もうなんでもいいよ。とにかく出来るだけオブラートに包んで可愛らしい言い方にしてくれ」
ツッコミ疲れたのもあるが、これ以上は色々と言われそうなのでやめさせる。ちなみにwiki参照である。
「わかった。以後気をつける」
本当かよ。これから出来るだけ言動を正していこう。
「ユウ、あれじゃない?」
リーリエが指差した方には動物ではない生物いた。
「多分あれだな」
ユウ達が居た世界のモンスターに姿はよく似ている。しかし、熟練冒険者が負けたというのはにわかには信じられない。だって目の前に居るのはスライムだもん。
「あれって強いの?」
「俺らの世界じゃ最弱」
RPGゲームではお馴染みのキャラだが最弱の汚名がついている。
「これならサクッと倒せそうだな」
そういうとユウはスライムに戦いを挑む。鉄の剣を片手に構え迎え撃つ。
「私たちの戦いはこれからだ!ご愛読ありがとうございました」
リーリエが勝手にナレーションをつけ始めた。
「打ち切りの定番文句を言うな!」
リーリエは俺たちの冒険をたったの6話で終わらせようとした。あ、まだ続くので安心してください。
「まだ続くなら安心。手伝う?」
「こんなスライム程度手伝いなんていらない」
スライム程度に助けを求めるなんて勇者の名が廃る。
「暇だからさっさと倒してね」
「分かってるよ、瞬殺してやるおごっ!!」
スライムが急に攻撃してきた。ユウのみぞおちに弾丸並みの速度で体当たり。その速さはもはやスライムではない。
「ジャストミート!!!」
人差し指をこちらに差しながら叫んだ。
「お、お前はプロレスの解説者か…」
反射的にツッコンでしまったが実際のところそんな余裕は無い。一撃目からえげつないのもらってしまった。このスライムは俺らの世界のスライムとは格が違う。気を抜くと殺られる。
「本当に手伝わなくていいの?」
「大丈夫だ、少し本気をだせばぁっは!」
今度はアゴに強烈なアッパーのような一撃が炸裂。そのままユウは気を失ってしまった。
「…きて。ねえ起きて」
聞き覚えのあるセリフで目を覚ます。目を開けるとリーリエの顔が目の前にあるこの状態は間違いなく膝枕だった。
「スライムなら倒したから、安心してね」
リーリエは笑いをこらえながら話す。余程無様だったらしい。スライムに負ける勇者なんてみたことがない。
「頼むから笑わないでくれ、立ち直れなくなる」
これ以上傷つくと死ぬぞ俺。
「言ったでしょ、私が守るって」
ニヤニヤとドヤ顔が混じっていてとてもうざい。しかし、彼女が居なければ死んでいたかもしれない。今はこのうざい顔の彼女に感謝しておこう。
「もう少しこのままでいいか?」
リーリエは頷いた。今日のクエストで色々な事を学んだ。この世界に現れたモンスターは元の世界のモンスターより何倍も強い。そして、リーリエは俺の何十倍も強い。最後に膝枕は普通の枕の何万倍も気持ちよく柔らかいということだ。そんなことよりもっと強くなろ。っと心に誓い今を楽しむユウであった。
ギリギリ間に合いませんでしたw
あと初めてブックマークされて嬉しかったです!
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