表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elice in Wonderland  作者: 無風の旅人
不思議の喫茶店
1/28

00 プロローグ

 ※この物語はフィクションです。登場する人物、団体及び名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

レイラの朝は遅い。


いつもの夜更かしが原因だ。そんなレイラの朝の目覚めは、同居人の大声で始まる。

「レイラさーん。」

 いや、始まらない。眠い。昨日は色々あって眠い。そんなレイラの状態とは関係なしに、声の大きな同居人がもう一度呼びかける。

「レイラさーん、朝ですよ。」

「ひゃっ。」

 レイラは叫ぶと同時に反射的に足を縮める。悪戯好きの同居人がレイラの足の裏を、自身の髪の毛の先でコチョばしたのだ。

「その起こし方はやめてといっているでしょ。」

 レイラは眠気と布団の両方を吹っ飛ばして、長髪の同居人に叫ぶ。

「怒った顔もすてきだぜ。」

 決め顔でうそぶく大きな目の同居人の姿を見て、レイラはため息をつくと諦めて起きることにした。


 レイラの一日はこうして始まる。


「レイラさん、今朝はどうします。」

「パンで。」

 レイラの朝食はパンが多い。もちろん和食もありだか、自分でパンを焼くようになってから朝はほとんどパンになった。長身の同居人はせっせと準備する・・わけでなくテーブルの前でレイラが作る朝食を、子供さながら「わくわく」と声までだしながら待っている。

 いや、子供でも「わくわく」なんて言わないが。

 そんなことを考えながらレイラは色白の同居人のためにスープとスクランブルエッグを準備する。

「いただきまーす。」

「はい、いただきます。」

「美味しい。」

「ありがとう。」

「レイラさんと結婚してよかった。」

「新婚の旦那気分ですか。」

「私が男なら絶対離さない。」

「はいはい。」

「このまま結婚しようか。」

「私は遠慮する。」

「あの時のことは嘘だったの!」

「同居する前に合意した家事の話?」

「いえ、なんでもありません。」

 毎朝のたわいも無い会話と食事が終ると、レイラは後片付けを始める。

「レイラさん、お店の準備で先に行くね。」

 少し舌っ足らずな同居人はトートバックを肩にかけ、レイラに声をかけてから玄関に向かう。

「あ、ちょっとまってね。」

レイラは玄関で靴を履いている黒髪の同居人を呼び止め、その額に人差し指をあて呟く。

「はい、お仕舞い。」

そう声をかけると、レイラは手を挙げていってらっしゃいの仕種をする。

「行ってきます。」

 髪をなびかせて細い手の同居人は大きく手を振りながら笑顔で出て行った。レイラは愛すべきそして厄介な同居人を見送ると、表情を変える。

「いつも通りに。」

 そう呟くとそのまま部屋に戻る。


 レイラの朝は忙しい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ