ep.1どこへ行くキー
ミステリーが好きで、学園ものに手をつけてみました。初めてなもので御手柔らかにお願いします!
僕は唸っていた。この高校の文芸部の部室で。今は1人だ。この目の前の難問さえなければ眠ってしまいそうな春の陽気が窓から流れ込む。そう、その目の前の難問というのが・・・
「こんにちはぁー!」
耳がキーンとする。前橋 耀華の声だ。
「なぁんだ。後藤くん1人か」
なんだとは何だよ!僕の名前は後藤 型武。文芸部1年である。そして目の前にいる前橋もそうだ。
「なぁ、ほかの人らは?」
「委員会やら用事やらでいないみたい。私も先に部室よろうとしたんだけどさ」
そうか、と肩を竦める。とにかく、この問題を早く解決したい。その話題を切り出そうとした時、
「何やってんの?」
向こうから来てくれるとは。
「それが・・・」
事情を説明する。
それは部活前のことだった。いつも通り部室の鍵を借りにいったのだが、文芸部の鍵はなかった。
きっと空いてることだろうと、部室まで行ったがなんと空いていなかったのだ。
「待って待って!じゃあ、どうしてここにいるの?」
と、話に割り込んでくる。
「これから話すよ。慌てないでくれよ」
誰か先輩が持ってるもんだ。そう思って、とりあえず部室に入りたかったので先生から直接借りた。前橋も知ってると思うが先生は、部室の管理上合鍵を持っているのだ。
中に入ると、異常なし。誰か持ってるだろうと思い待っていた。
しかし、いくら待っても来ない。
鍵を持ってるなら、行先は部活だ。残りの部員はみんな用事があることが前からわかっていたから、鍵を借りるような真似はしなかったはずだ。さて、鍵はどこへ行ったのだろう?
「そこで、僕の立てた推測が、前回の部活、金曜日だったか。帰りが遅くなって先生に鍵を返すことになったろう?その後、先生は鍵をなくしてしまったというわけだ」
どうだっ、という顔で前橋を見る。しかし、前橋はきょとんとしたかと思えば、次には笑顔を浮かべこう述べた。
「じゃあ、なんで先生は鍵のこと一言も言わなかったの?」
「それは・・・」
少し長い束ねた髪をかきあげてさらに前橋は続ける。
「なくしてから、土日はあったはず。どうしても生徒に言えないくらいなら合鍵くらい作れたと思う。第一そんなに先生が悪そうに見える?」
「その日に返し忘れたとか」
前橋はそれでも微笑を絶やさない。
「先生は鍵を返しに職員室に行ったのよ。本来の目的を忘れるはずないじゃない?」
反撃失敗。
「そんな事言ってたらきりがない!結局鍵はどこへ言ったんだよ」
すると、一瞬笑顔が崩れた。申し訳なさそうな顔をしている。
「根本的解決になってないじゃないか」
「そのことなんだけどね。実は・・・」
さっきまでの態度とは打って変わって、声を小さくして言う。そして、ポケットからおもむろに出されたのは・・・。
鍵だった。
「ふぇ?」
自分でも思うくらい素っ頓狂な声が出た。
「最初に言ったじゃん?先に部室によろうとしたって。そしたら、自信満々に言うんだから切り出しにくくなっちゃって・・・」
それじゃあ、前橋ははじめから分かってて僕の馬鹿な推理を聞いていたのだ。
「な・・・な!・・・そんな・・・」
怒る気にとなれなかった。
文芸部に入部してまだ1ヶ月、何故か前橋の前だとむきになってしまう。ま、少しは反省してるようだし。今回は水に流して、
「『僕の立てた推測が』だったっけ?もう一回言ってみてよ!」
前言撤回。と同時に論争開始。まだまだほかの部員は帰ってこなさそうだ。
こんなペースで行こうと思います。長編は気が向いた時にします!
どうぞよろしくお願いします。