4話
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僕は夢遊病の患者の様に視界をふらふらと揺らしながら何時もの通り通路を進んでいく。
通路の先は何時もの通り何も見えない。
何時までも進んでいる筈なのに、正面の景色は何の変化も起こさない。
あまりにも変わらない景色に僕は何となく逆方向を進むことにする。
景色は何も変わらなかった。
(……………)
【ダンジョンにプレイヤーの侵入が確認されました。エネミーデータを構築します】
声が聞こえる。
僕はまた戦うことになるのか、と僕は僕は恐怖を…
(……………)
プレイヤー反応あり、多数有り。
戦闘待機モードに移行。
『策敵に反応!奴です!』
『毒瓶用意しとけ!スキルが発動した所を狙うんだ!』
『詠唱に入ってください!』
『逝くぞぉデコイ組ぃ!!』
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反応多数、六十三人確認。
危険性………大。
一撃離脱を選択…
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……人数を考えて、【嵐撃】を使った方が…
しかし、何をされるかは分からない、ので出来る限り腕で受けきるか…
いや、【瞬円】で相手が動く前に潰す……
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……考えれば案外簡単に答えが出た。
要は危険を避けながら相手を倒せば良いんだ。
なら、僕は
『見つけた!!毒瓶を投げ………ろ?』
『……ぃおい!逃げただと』
『詠唱止めてー!!』
『あいつ俺にびびったんだ!どうよ!』
『熱!?』
『誰よファイアーストーム使った馬鹿は!?』
『……駄目だこりゃ』
『落ち着け、落ち着け貴様ら落ち着け落ち着け』
『すまーん、サンドストームとエクスプロージョンと炎風の詠唱止められんかったー。耐えてー』
『う、うわぁぁぁあ!?』
『逃げろぉ!それかあいつを追えぇい!』
『お、俺は』
『なにこれ…』
『逃げる、か…。こんなにフレンドファイアーの脅威に見舞われるとは思わなかったな…』
『どいてっ、私はこんなことでは死にたくないわ!』
ある程度に距離を離すとバラバラに向かってくるのが見える。
さっきと比べれば対処はかなり容易い。
僕は【衝剣波】を近いプレイヤーに有効な距離ぎりぎりまで近付きながら使いつつ数を減らしていく。
幸いにもプレイヤーのパーティーは上手いこと後衛が機能していない。
それなら遠距離攻撃に対する注意も少なくてすむから多少は楽になる。
目の前のプレイヤーによる脅威になる攻撃も精々毒瓶を投げてくるぐらいだが、通路で戦うならば基本は前面に集中出来るから回避も可能だ。
そのまま距離を一定に開けながら【衝剣波】を繰り返す。
【ダンジョン内からプレイヤーの存在が消滅。設定変更、破損箇所の修復と内部構造の変更、モンスターの一時消滅】
最後の【衝剣波】がプレイヤーに命中すると同時に声が聞こえた。
声で身体は崩れ行く。
身体の崩壊を止める様に、何かから身体を守る様に僕は身を抱く様にしゃがみ込む、だけど
(……………)