1話
【ダンジョンにプレイヤーの侵入が確認されました。エネミーデータを構築します】
再び聞こえてきたその声で僕は再び身体を得る。
プレイヤーはどこにいるのか、そんなことはまるで分からないが、足は無意識に前へと進んでいく。
ザァザァと音が聞こえる。
その音は前に聞いたことがある。
僕はその音に向かって歩みを進めていった。
水飛沫でうっすらと白けたそのフロアに着くと同時にプレイヤーの存在を探すが反応はない。
だが、このフロアは滝や滝壺があるために水の中も直接確認しなければならない。
(…………)
反応はなし、姿もなし。
フロアからの移動を始める。
(……………)
そのフロアから出て7分程度歩き回っていると、金属がぶつかりあう音が聞こえる。
他を含め僕たちはオブジェクトに攻撃する機能はない。
それなら、導き出される答えは一つ。
プレイヤーしかいない。
身体が戦闘待機状態に切り替わり、僕は音のする方向に走る。
(……………)
プレイヤーの数は三人、モンスターは六体。
『…くそ!やっぱりモンスターハウスじゃねぇか!あの野郎………真っ先に死にやがって』
『また増えたよ!気を付けて』
前衛一人、戦士、後衛二人、魔法使いと僧侶、モンスターは獣人型二体、鉱石型一体、獣型三体。
ターゲットはHPが一番少なくなっている戦士、次は魔法使い、最後は僧侶。
『…やべぇな……体力が70しか残ってねぇのに…』
『……おかしいわ。あれだけサーチが効かないんだけど』
『おい!?ヒール使って!死にそうなん…』
戦士が獣人型の攻撃で消滅、僕も魔法使いに【兜割り】を使いその存在を消滅させる。
『……スキルは使えるのね。でも姿はぶれぶれだし、動き方がカクカクしてて不気味だわ…』
僧侶には【一点貫き】を使い消滅させる。
【ダンジョン内からプレイヤーの存在が消滅。設定変更、破損箇所の修復と内部構造の変更、モンスターの一時消滅】
その声により僕たちの身体は再び崩れる。
さっきまで猛々しく暴れていた他のはそれに驚きもせず、静かに臨戦態勢を解除して僕と一緒に消えていく。
気が付けば、何時もの通路だ。
何も変わらないその場所で僕は再び前へと進んでいく。
ただ、なんとなく