デブ腹断面図
「あーあ、ハゲはどうしてこう長く語りたがるのかねえ。オタク系には2種類いるけど、自己主張するだらしないデブとウンチクがましいハゲなのよねえ。野暮ったい説明よりも、数字で示したした方が良く分かるわよ。さっ、2号ちゃん、結果を言ってちょうだいな。」
< ああ、よかよ。吉積亮治のだらしないデブ分析診断は、次の通りたい。
『診断?』
< まずは、基本的なところね。身長164.4cmに対し体重125.7KgつまりIBM46.5、最高血圧243mmHg、尿糖量185mg、尿タンパク検出量1日3345mg、中性脂肪値349mg/dl、総コレステロール値412mg/dl、空腹時血糖値225mg/dl、グリコヘモグロビンHbalc 8.9%、GOT 723IU/l、GPT 670IU/l、y-GTP 83IU/l、というところたい。
「・・・ふ~ん?」
「何が、ふ~んだい。これを聞いて驚かないのか?」
「驚く?ダラダラ専門的な数字を言われても、ちい~とも分らんのだけど。取り敢えず、”貴方は、デブです”ということだろ。」
すると、2号機が突然高らかに。
< ワハハハハハハハハハハハ
「な、なんだよ、いきなり笑う所か?」
「亮ちん、ちゃんと健康診断の結果通知見ているの?」
「ああ、見てるよ、というか見なくても分かってるよ。殆どがD判定だからね。」
「君は、よく今まで生きてこれたな。いやあ人間、ある意味、ニュータイプの人類なのかもしれない。」
「ほう、僕はアニメのキャラクターのようなのだね。」
< ・・・馬鹿丸出しばい。
「デブに、新次元は無いのだよ。そんな戯言をすぐ言いたがるのは、自分から目を背けている証拠、さっき話尽くしただろう。ただし、何処までデブによるあらゆる症状が進んでも、この地球の環境で通常に生活が出来ているかは把握しておきたいところだけどね。」
「地球環境?、なんか、難しいこというね。」
# ジャジャジャジャンジャ、ジャーン
『なんだ、なんだ。』
赤く染まった長閑な夕暮れの空に、壮大な効果音響と共に巨大な3Dの文字が浮かび上がった。
# デブは不要である
この地球が生まれてから46億年
その歴史の上に存在する唯一だらしなく存在する
総ての生物の中、デブを生息させるのは人間が作り上げた環境だけ
つまり、デブは通常の地球環境に適していないのである
そして人間は、更に他の生物もデブにしてしまう
ペットとしての犬や猫達である
犬は腹を地面を擦り付け、走れなくなり
猫は高い所から飛び降りれなくなり
本来あるべきの能力を奪われてしまった
そして、健康を維持できなくなると薬を登用し、運動の世話をさせるはめになった
そんなペット達の状態を見ていれば、未来は自ずと分る
高齢者に加え、来るべきデブによる医療と介護の時代を
デブを良しとする答えは、この地球上には無い
3Dの警告文が終わると、次に夕空にある醜い姿が浮かび上がった。
「ひょっとして、俺なの?」
「一目瞭然じゃないの。ああ~、こんなのバーチャルリアリティーで見たくないわね。」
そして、憎き2号機のふざけた解説が始まった。
< この男ば見てくれんね。IBM45ば超えるとね、もう見るからにデブ体型
たい。ばってんね、重要なのは、見た目の感じで終わったらいかんとよ。こ
こで、ああ、汚かあ、暑苦しかあ、臭かろう、そんな感想は求めとらんとば
い。問題は、この身体の内部がどうなっとるかに注目せないかんとたい。
「これは何ですか、また僕を虐めて楽しむんだ。」
「し~、能書きは後で、最後まで見てから言いなさい。」
すると、リアルな腹部の断面が映し出された。眉間にしわが寄るほど刺激的な内部形相。血管が躍動し、臓器のぬめり感など半端ない実物感。
< これは、医学番組によく見るメタボ体型の腹部断面図、3Dの再現実像な
んばい。よ~く気ば付けてもらいたかとはね、この内臓脂肪の量たい。なん
と185平方cmばい。危なか内臓脂肪量は、腹部の断面積にして約100平方
cm。それば遥かに超えとうとよ。これでは手術するには限界ばい。皮下脂肪
で予防注射が怖かったなんか比較にならんとばい。内臓脂肪過多によって、
糖尿病(2型)、高血圧症、高尿酸血症、高脂血症、狭心症などの心疾患ば引
き起こしたら、長期の対症療法をせざる負えなくなるもんね。そげんなった
ら莫大な医療費をつぎ込むことになるとよ。強いては、症状がひどくなって
労働社会から脱落したら、公的な経済援助の世話になるごとなるばい。なっ
た本人はそれで良かろうけど、皆はえらい迷惑たい。デブは、脂肪があるか
ら刺し殺せない、寒さに強いとか、馬鹿なこと言うとったら、いつかは内部
疾患で地獄の苦しみになるとば覚悟せないかんばい。それから・・・




