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シバキの恐怖

 コバルトブルーの海面から寄せる波打際、泡立てた卵白の如く、海岸線に沿って供えモチ女の尻を追随する。するとやがて巨大な建造物が砂浜の情景から現れた。俺は、その壮麗な姿にあきれ果てた。

『なんじゃこりゃ?ルクソール神殿かあ?』

 大理石の2対の女神像が出迎えた。その間の敷き石の回廊を進んで行く。古代エジプト王アメンホテプだとでもいうのか?どう考えても趣味の悪い設定である。それから500メートル程先に米粒位の謁見の台座が見える。それが此処の主、変態SM部長の執務場であろう。そして、10分程走行し、ようやくその全貌が確認できるようになった。

# フェン フェン フェン プシュー

「ふーふー、室長、山王寺室長、宜しいですか。営業2課、吉積係長を連れてまいりました。山王寺室長、いらっしゃいますか?」

 すると・・・。

# おお、よく参られた。吉積君、君との引接を楽しみにしていたのだよ。これからそちらに行く、暫し待たれよ。その間、浅沼君、宜しくな。

 極端にエコーの掛かった趣味の悪い重厚な音声である。

「ふーふー、ほら吉積さん、此処で一旦降りてくれる。室長が来られるまでに支度をするわよ。」

「え?支度?」

「そう、服を脱いで裸になるのよ。」

「は、はだかあ?」

 心拍数が急上昇し、思わずはしたなく言葉を吐いた。併せて、不良中年部下の伊東が話していた悍ましき伝聞が脳裏にフィードバックしていた。彼は、一度室長に会ったことがある。前述の通り、その時、執拗にSMに興味がないか迫られていた。是非、会ってみたいとは、俺のこの締まりのない身体が目当てだったのか。いや、アイツの目には、シバキ甲斐のある最高のブタ野郎に見えているのかもしれない。

”おーほほほ、この黒光りした鞭の硬い舌先が、お前のそのだらし無い赤い吹き出物だらけの白い尻に減り込んで、その度に狼の遠吠えの如く、背筋をぞくぞくさせる断末魔の叫び声をあげる姿を見たいんだよ。”

”そんな、助けてください、勘弁してください。”

”お前は、私の快楽を満たす下僕ブタなんだよ、おーほほほ!”

なんて状況に嵌められるのではないだろうか。

* この小説は、決してそのようなジャンルものではありません。不適切な又は不愉快な文章表現と思われますが、オリジナル性を保持するため何卒ご容赦下さい。

『いやだ、そんなことのために此処に来たのではないよ。』

「ハイハイ、なに虚ろな目をして、ボーと気を飛ばしているの、フィッチングルームで着替えるのよ。」

 見ると、既に野外イベントなどで使われる簡易なユニットハウスが横付けされている。この中に、醜く爛れた身体を強調するような網タイツや黒光りするボンデージコルセットなどが置いてあるのだろうか?俺は、恐々と尋ねた。

「やっぱり、着替えないといけないんですか?」

「ふーふー、そうなのよねえ。室長は、雰囲気作りには凄くこだわるのよねえ。意見交換のテーマに似合うよう会場の様相を変えて、更にそのメンバーにふさわしい服装をさせるのよ。より濃い内容の話し合いが出来るための重要な要素だって事ね。私も、貴方の着替えた姿がどんな風になるのか楽しみよ、フフフフ。」

 ひえー、供え餅女もシバキ大好き族の1人なのか。このダンジョンの攻略には、凄まじい辱めの攻撃をいかに克服するかなのか。お笑いでSMをネタにする場合、自分の理性を完全に棄て、笑いを取るためと割り切らなくてはいけないと聞いたことがある。しかし俺は、仕事で来た営業マンである。

 そして、静かに更衣室のドアを開いた。

『これは???』

 白いランニングの下着シャツと薄い茶色地で2つの大きな後ろポケットの付いた作業用の半ズボンである。そして、どちらも洗濯し尽くしたようにクタクタになっている。

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