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身も心も肌も、そして感受性も

「ネエネエ、真保ちゃん、森田コーチにお熱になるわよね。本当凄いナイスガイだもんね。」

「超カッコイイですう。このクラスに入れて良かったですう。」

「そうよ、ここのスクールのコーチの人陣は、イケメンが多いのよね。聞くところだと、採用基準に顔とスタイルのチェックもあるらしいわよ。」

「日曜のFクラスの高須コーチも若くてピチピチしてるけど、やっぱり森田さんには敵わないわよ、絶大な人気、ほら、皆、生徒は女でしょう。」

「そうですね、男の人には人気無いんですか?」

「違うわよ、何言ってるの、コーチにレッスンを受けたい女が五万といるのよ、次期更新に直ぐ女でいっぱいになっちゃうのよね。」

「そうよそうよ、私も予約待ちでやっとで退会する人と入れ替わりで入ったのよ。」

「ええ!そんなに大変なんですか。じゃあ私、ラッキーだったんですね。フィットネスのプロクラムマネージャーさんから薦められたんですけど。」

「そうかぁ、フィットネスからのアプローチがあるのね。私も、正会員になろうかな。」

「ハイハイ、そこの3名の女性陣、よそ見してないで注目デース。」

「はーい。」

「ソーレ、アプローチ!そして、キメ!」

# パコーン パシー

# ワアー、素敵!

「でも、困ってるんです。」

「何が?」

「今、私、東君がいるんです。テニス部員でやっぱりカッコイイんです。」

「ええ?真保ちゃん、両天秤ってこと?」

「良いわねえ、若いと何でも有りなのよね、羨ましい!」

「その男の子も、テニスが凄く上手くて、超イケメンなんだ。」

「そうなんです。対外試合で行くと、相手校の女の子達でも、東君を応援に来るんです。」

「それじゃあ、今度の日曜日、Sローンテニスクラブの貸コート取って、コーチとその男の子を誘ってやりましょうよ。」

「良いわね、良いわね、あそこのクラブ、高級感があるのよ。ビジターでもロッカーを貸してくれるし、レストランもあるクラブハウスは素敵よ。でも結構高いんじゃない。」

「大丈夫、私の友達が一日無料利用券をくれたから。コートは私が取るから、真保ちゃん、東君、是非お願いね。」

「そうよそうよ、コーチと打てるんだから、オーケーするわよ。」

「分かりました、聞いてみます。」

「よーし、イケメンコーチとハンサム少年とのスペシャルテニスデイ、アフテニも、確保しておくわよ。」

「アフテニって何ですか?」

「終わった後の語らいの時間よ。」

「そうかぁ、反省会も必要ですもんね。」

「違う違う、真保ちゃん、意外とすれてないわね。」

「すれてない、ですか?」

「アハハハ、加山さんがオバサン臭いのよ。真保ちゃんは、未だ高校生よ。」

「あーあ、年齢と共に身も心も肌も、そして感受性も汚れていくのよね、あーやだやだ。」

「ハイ注目、イメージがついたところで、もう一度今の練習をやってみましょう。それから次のメニューに移りまーす。」

# はーい。

 父親の苦悩苦労とは程遠く、妻、息子、娘はハツラツとした日々を満喫しているように思える。

 とはいえ、肉汁ラーメン屋で聞いた話は、ガッツリとした脂身と共に俺の小心に残っていた。革命が起こる?なんてさらさら信じていないが、SM担当ならぬ完全能率化推進担当課の動きには、正直言ってかなり脅威を、いや興味をそそられていた。つまり、怖いもの見たさということか。そしてどういう経緯からだか分らないが、突如新たにビルオフィスを借り受けて、社内フロアーから移転したということだ。

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