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グラディエーター

「そうかぁ、そんな目に遭ってたんだ。私は太ってたことなかったから、何を言っても気休めにしかならないけど、此処に来たからには変身して、新しい真保ちゃんをスタートしようよ。カッコイイ男の子から声を掛けてもらうくらいに成れるわよ。」

「そうかあ、東君と話が出来るようになるかな?」

「東君?なんだ、やっぱり好きな子がいるんだ。」

「あ、いや、そんなんじゃないんだよ。テニスのクラブ活動やってる子なんだけど、凄く上手いんだ。私、テニス出来ないけど、試合観るのは大好きなんだよ。ワールドツアーのことはトーナメント選手のこと結構詳しいんだ。でもテニス界のこと話できる女の子って、いないよね、だから・・・。」

「そんなことなら、別に今だって良いんじゃないの?」

「無理無理、こんなデブじゃあ、テニスの話しても相手なんかしてくれない、絶対に・・・。」

「ふーん、そんなもんなの。」

「そんなもんなの!」

「じゃあ、痩せて、身体が運動に馴れたら、テニスもプログラムに入れようか?」

「本当に?やるやる!」

「目が輝いてる、良いなあ、真保ちゃんはこれからなのよね。」

「何が?」

「乙女の時代よ、恋心、恋の予感。胸キュンする年頃。」

「ぷぷ、その言い方、チョー古臭くないですか。ママが言ってるみたいだよ。」

「あら、そう、やっぱりオバサン化が進んでいるんだわ。どうもこの頃は、他人の恋愛とか、不倫ネタに食いつくようになって来たのよね。」

「ええ!だって佳鈴さんって20代でしょう?」

「本当に?」

「どうしたんですか、それが?」

「真保ちゃん、凄く良い子ね。」

********

# 時は、紀元1世紀。一都市国家から領土を拡大し、強大化した古代ローマ帝国。巨大国家を支えていくために、大量の奴隷を使用する社会が確立していた。そして、ヨーロッパ全体の富を獲得したローマ市民の欲求を満たす見世物に、奴隷剣闘士の享楽的な闘技会が盛んに催された。今此処に、壮大なる円形闘技場アンフィテアトルムにおいて、ローマ帝の主催するアレシアの戦いが再現されることになったのである。ローマ軍6万、ガリア軍8万、現在のフランス、ベルギーである広大なガリアを従属させる歴史的戦闘は、壮絶な攻防戦となったのである。

『随分、仰々しいナレーションだなぁ、歴史スペクタクルシネマか?・・・まさかとは思うけど。』

 突然、ファンファーレトランペットの多重奏が始まると目の前に浮き出るように黄金に輝く文字が浮き出てきた。

# ソード オブ ザ グラディウス

 オープニングを思わせる勇壮なオーケストラ音楽が流れ始めた。そして、

更なる解説の文字が次々と浮き出て来て、煙のように消えて行くのである。

# これからゲームを始める

  その前に、次の事柄を心して頂く

  貴方は、勇猛果敢なグラディエーター(剣闘士)なのである

  これから、様々な屈強で悍ましい敵が現れる

  闘って、ダメージを与え、倒すこと

  相手は次第に強さの段階が上がるだろう

  そして、最後まで勝ち残れば栄光の祝福を受ける

  持っているパワースティックが、貴方の武器

  これで攻撃し、急所に近いほど、ダメージポイントが高くなる

 嫌な予感が的中した。

『俺が戦う?口喧嘩もしたことがない俺がだよ。無理に決まってるだろ。子

# それでは、始めます、頑張ってね

『ええっ!』

 突然、大歓声とともに、広大な闘技フィールドが現れた。

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