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天の岩戸

俺は、死んだんじゃないのか?とすると、あの世にいるチミモウリョウ共達が俺を嘲る声か?

# ワアッハハハハハハ うヒャヒャヒャヒャ おーふぉふぉふぉふぉ

とすれば、地獄に堕ちたのか。どうして?未だ三途の川も渡っていないのに、意気なりは可笑しいだろ。

すると、その嘲り笑う妖怪達の声の中から俺に呼び掛ける奴がいた。

#“横溝さああん、起きてくださいよ。此処は、天国でも地獄でも、霊界でもありませんよ。”“ほらほら、そのまま死んだふりして目を閉じてちゃ、今置かれている状況が分からないですよ。”“さあ、さあ。起きるんですよおおん。”

それでも、人間は心が冷えていると、物事を前向きに考えないものである。此処で目を開けると、あな恐ろしい骸骨のような姿の魔界の悪鬼達がうじゃうじゃと取り囲んで、大ガマを担ぎ上げて、俺の意識が戻るのを待ち構えている光景を見るんじゃないか。どうせいたぶられるなら、見えてない方がマシじゃないかと考えるのもアリ。

# ワアッハハハハハハ・・・・

しばらくすると嘲りの笑い声は、落ち着いて聞こえなくなった。やがて、何処からか音楽隊の様な楽器が奏でる音が鳴り出した。

# ♪チャカチャンチャンチャーン チャカチャン・・・

『なんだ?』

意気なり曲が始まった。どっかで聞いたことがある。

# ♪あ~偉大なる生業 俊英~我ら~ 世界に~目を向け~邁進し~

それと共に、だみ声の大合唱が、突然始まったのだ。

# ♪幾千もの徳を~積み上げて~ 社会の礎となり~

『あれれ、うちの社歌なんだよな。入社した時に、新人研修で覚えさせられた、実にくだらない歌。ということは、俺は死んで、過去に亡くなった社員達の霊の前にいるのかもしれない。』

# ♪朝焼けに~そそり立て~ 我が愛祉いい ウオー(パチパチパチ)

理性によって行為を制御することは出来るが、興味が沸くのは抑えられない。人間の原罪はそこに在るのではないかと思う。例えは悪いが、豊満な女の子の2つの丘を無理矢理拝もうとすることは、法に触れ連行となるので、その行為そのものは抑えることになる。しかし男として、その欲望を消し去ることはありえない。かの天照大御神でさえも、戸外のドンチャン騒ぎが気になって、ついに見たいという欲望を抑えることが出来ず、岩戸を少し開けて覗き見てしまう。ここで疑問点があるのだが、覗き見ている岩戸を引き開けた天手力雄命は天界一の力を持つ神であるということなのだが、簡単に岩戸を開けた天照大御神の方が余程の力持ちなんじゃないかと。そんな事はどうでもいい。幽霊を見たところで、石になってしまうことはないだろう。それじゃあ、ちょっとぐらい薄目を開けても大丈夫ではないか?

# ・・・・

無駄に思量していた。いつの間にか気付かないうちに、全く物音がしなくなった。

# ・・・・

やはり、意気なり静寂と化した。

『ううー、気になる。目を開けようかな。』

そして、ちょっとうっすらと・・・・

『ノ、ノワッツ!』

目と鼻の先に、無数のオッサンの汚い顔が俺を覗き込んでいるのが見えた。

「キョエエエエエエ!」

思わず絶叫して、びくっと身体を動かしてしまった。合う意味、妖怪達に突然出くわした事と何ら遜色ない衝撃。

#“なんだあ、ぜんぜん意識あるじゃないか。”“ようこそ、新生T総合流通から選ばれた精鋭社員君、さあ、起き上がって我等の歓迎を受けてくれ。”

# ワ~、パチパチパチ ヨシヅミ ヨシヅミ

状況が全く読めないが、俺に危害を加えることはないだろうと思うので、取りあえず反応する。

#「ウ、ウウウウーン」

少年少女小説の状態描写のような明らかにわざとらしい意識の回復を演じたのである。そして、今度ははっきりとそのオッサン達が何者なのかをはっきり認識することができた。


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