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朝からたて続けにイラッと

♪ Y駅です、Y駅です。ご乗車の際は、ホームと車両との間に・・・

『おっと、ヤバイ、降りなきゃ。』

「すみません、降りますので通して下さい、すみません。」

「え、降りるの?」

 しまった、ポジションの選択を誤ってしまった。いつも優先席側のプラグドアに一番近いつり革につかまり陣取っているのに、何故か車両連結部側に立っていたのだ。この位置は、当面降りることがない者のエリアである。

# えええ ウソオ まじかよ

 ひんしゅくの呟きが聞えて来る。通勤電車では、デブはそれなりの乗車マナーを弁えていないといけない。特に夏場では、送風口からの風向きも考慮する必要がある。

# イテテテ もう~チョット 押さないでよ

「あ、すみません、降ります、すみません。」

# チョット、押さないでよ 俺じゃねーよ

「すみません、すみません。」

♪ ピロリロリン ピロリロリン

# 間もなく発車いたします。危険な駆け込み乗車は他のお客様のご迷惑になりますのでご遠慮下さい。間もなく発車いたします。

「すみません、すみません、すうううみいまあせ~ん。」

 と、気遣う言葉を入れながら、グイグイ押し進む。

# キャア ウオー

「すみません、すみません。」

 若干名程が、俺と一緒にホームに降りたようだ。そして、電車は発車した。

「ふう、危なかった。」

「チョット!」

「ハイなんですか?」

「アンタのお陰で、此処で降ろされちゃったじゃないのよ。」

「へ?、此処で降りるんじゃないんですか。」

「アンタに弾き出されたんだよ!どういうことだか分かるよな?」

 面と向かって言われるとムッと来るものだが、ここは子供の喧嘩の様に言い争っても時間の無駄、大人になる方が得策と判断。

「アハハハ、この通りデブなもんで。」

# ・・・・

 そうして駅舎を出て、公園の大通りに沿って12分程歩いて行くと我社である。この歩道は銀杏の並木となっており、秋深くなる頃には、さながら黄金のモニュメントが立ち並んだ様に絵画的情景をなす。その癒しと慕情を味わいに子連れの家族や恋人達が散策する。

「お早うございます。こちらを宜しく!」

 何かチラシの様なものを小肥りで頭頂部の禿げの男が目前に突き出してきた。

『今日は、朝からたて続けにイラッとすることが起こるな。』

 当然俺は無言で、右手で拒絶のポーズを取りながら払いのけてそのまま通過、そして30メートル程歩いたところで。

「お早うございます、こちらをお受け取り下さい。宜しくお願いします!」

 今度は、お姉ちゃんである。まんまるの肩の肉付き、袖の繋ぎ目もほつれそうなブーデーだ。

「貴方も是非これを見るべきです!」

 そう言って、また目の前にさっきの禿げデブと同じチラシを突き出してきた。

『むむむむ。』

 プニプニした真っ白い若い娘の腕、俺の助平脳細胞が刺激された。

「あ、どうも。」

「ありがとうございます!」

 また色香に負けてしまった。俺は本能的に女のピチムチさに触れると猫にマタタビ状態になるのだ。言い訳しているのではないが、これまでに語ったように、男は常に子孫繁栄のホルモンが起動してしまうのである。その反面、御年輩や同性に関心を寄せる者がいるが、それは生理的なものでなく、単なる変、いや、個人の嗜好の部類であろう。

 ということで、受け取ったチラシをちょいと眺めてみた。

『なんじゃこりゃ?』

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