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【一日目】1時間目―天宮麻奈美

 昨日の朝よりは暖かいだろうが、それでも寒い朝でした。『月光荘』を出て、私は思いっきり伸びをした。背中の骨が少し軋んで音を立てた。


「麻奈美ちゃん。おはよぉ」


 まだ眠そうな海道夜未かいどうよみちゃん。彼女は朝が苦手で、起きるのに1日分の労力を使ってしまうと言っていました。

 夜未ちゃんは時々、立ちながらでも寝てしまいそうになる。そんな時、手に持っている鞄を落としそうになりますが、その度に目を開けて、しっかりと持ち直すのです。見ていて心配になります。


「夜未。麻奈美。おはよう!」


 夜未ちゃんとは違って、今度は日向小雪ひゅうがこゆきちゃんが元気な挨拶をしてくれた。彼女は朝から晩まで常にこのテンションを保っています。私には真似できない所業です。

 そうそう。私の紹介がまだでしたね。……別に誰にと言うわけではありませんがね。

 私は天宮麻奈美あまみやまなみです。特に紹介はありません。多分、普通の中学生です。以上ですが、別に良いですよね?


 卯月。それは不安と期待の月。終わりの後の始まり。すべてはこの月から始まる。一年という時の流れのスタートライン。

 まあ、私にとってはそのスタートラインは大分先になってしまいそうですがね。理由ですか? だって、小学生からずっと教室が変わらないですからね。別に勉強が出来ない訳ではありませんよ(笑)。ただ、そういうクラスというだけですよ。念のため、もう一度確認します。別に私が頭が悪い訳ではありませんので、悪しからず。私……と言うか、クラスのみんなの為に申し上げておきますね。本当にしつこくとすいませんでした。


「麻奈美? 誰と話してるの?」

「そうだよ。さっきからどうかしたの?」

「え!? べ、別に誰でもないよ」


 画面の向こう側の方々とは言えない。変人扱いされそうですからね。


「さて、行こうか」


 私達の住む『月光莊』の鍵を閉めて、私達は横に並んで学校に歩き出した。

 その時、小雪ちゃんと夜未ちゃんがボソッと独り言のように放った言葉を、私は聞き逃さなかった。




























「小雪も……語り手やりたかったなぁ」

「……私もやりたかった」


 ……分かってるなら、聞かないでよ。二人とも(涙)。

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