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ハンティング

作者: 山野つつじ
掲載日:2011/11/19

アメリカ南部での鹿狩りの様子を交えてストーリーを進めました。

雰囲気を少しでも感じて頂ければ幸いです。


 俺は週末の土曜日に、一人でハンティングに行ったんだ。

 土日が休みだから、今週は土曜と日曜日に行こうって決めてたのさ。

 ハンティングは獲ったら獲ったで、食料としても重宝するし、肉の半分くらいはホームレスに寄付してるからさ、嫌いっていう人もいるんだけどちょっとは世の中の為にはなってるんだぜ。

 それに、ハンティングをすることで増えすぎる鹿の数の調整にもなってるんだ。

 そういってもさ、動物を殺すのに躊躇いがあるって人がいるのさ。

 こればっかりはさ、好きか嫌いかって問題もあるから仕方ないんだよな。

 さてと、今日はちょっと小高い丘の上で鹿を待機してみるか。

 昨年はここで鹿の群れを見たから、ひょっとすると奴らはまたここに現れるかな。

 そうそう、ハンティングってさ、単に撃つだけみたいなイメージあるだろ?

 ところがさ、鹿を待つ間の時間って、それはそれですごくいいものがあるんだよ。

 時を待つ間の「考えを巡らす時間」っていうのかなぁ。

 昔の出来事をあーでもないこーでもないって思い出したり、家族のことを改めて考えてみたりしてさ。

 呼吸をすれば自然の空気が体を満たして、耳には人間が昔から聞いてきた自然の音が聞こえるわけだ。ここじゃ人間も自然の一つって、実感できるんだよなぁ。

 おっと、鹿が現れたぞ。

 最初に来たのはメスが二頭、続いてオスか……。

 メスはドウっていうんだけどさ、通常みんなオスのバックと呼ばれる方を撃つのさ。

 なぜかっていうと、バックの方が体が大きいから肉が多くとれるだろ?

 しかも、バックには立派な角があるわけ。

 器用な人の中には、バックの立派な角を使ってインテリアを作ったりする人もいるんだよ。

 しーっ、狙いを肩の後ろ側と心臓の位置辺りに合わせて、静かに息をとめる。

 撃つぞ。

 ダーン!というライフルの音が、雑木林に大きく響いた。

 くそっ、狙いがちょっと外れちまった。

 バックは大きくジャンプして、林の中に消えていった。

 狙いを外しちまうと、鹿はかなり遠い距離までいっちまうんだ。

 こりゃあ、死体を捜すのにはちょっと歩かなきゃなんねぇなぁ。

 俺は、枯葉を踏みしめながら、鹿が逃げていった方向に歩いていった。

 林の中は静かで、音といったら自然が作る風の音や小川の音。

 ただ歩いているだけなのに、自分が野生に返ったように感じるもんだ。

 そういえばさ、死体を捜すのにいい目印になる鳥って知ってるか?

 バザードっていうんだけどさ、まあハゲワシっていった方がわかり易いか。

 あいつらはさ、死肉とか腐肉を食らうんだよ。

 だから奴らは死体があったりすると、そこを中心にして円を描いて飛び回るんだ。

 魚でも鹿でも、とにかく奴らは「食えるぞ」って思うとぐるぐるそこを中心に飛び回るのさ。

 奴ら流のパーティーなんだろうな。

 まあ、奴らが空から食い物になる死体が見えるっていうこともあるんだろうけど、きっと死に対して敏感なんだろうな。

 俺のいってることわかる?

 要はさ、今みたいに急所を外して自分の撃った鹿を見つけることができないとしても、バザードが見つけてくれるってわけ。

 まあ、奴らに食われる前に見つけないとっていう時間制限があるんだけどな。

 一時間程歩いたところで、俺は運よく撃ったバックを見つけることができた。

 見つけたバックは、後ろ足の部分をロープで縛り、車まで引きずっていった。

 ピックアップトラックの荷台に乗せて、肉屋まで運んでいった。


 翌日、俺はまた昨日と同じ場所にきて、鹿を待っていた。

 昨日一頭仕留めたというのもあって、今日は絶対というチャンスがなくてもいいと思ってたんだ。

 ただ自然の中で、風が気を揺らす音を聞いたり、たまにちょろっと見かけるアライグマを見ていたりして楽しんでたんだ。

 ふっと空を見上げると、木漏れ日と一緒にバザードが飛んでいるのが見えたんだよ。

 何羽くらい飛んでるんだろう……って見てたら、五羽くらいが円を描いてるわけ。

 これは、誰か撃った鹿がそのまんまなのか?って思ったんだ。

 たとえそれが鹿じゃなくても、いい話のネタにはなるだろう?

 たださ、林の中にいるもんだから、円の中心っていうのがよくわからなくて、とりあえずバザードが飛んでるだろう周辺をうろうろ歩いてみたんだよ。

 二時間くらいうろうろと歩き回ったんだけど、何も見つからないんだよね。

 ちぇっ、期待ハズレだ。

 それでも今年は、でかいバックを一頭とっただけでもめっけもんだ。

 俺はそう思いながら雑木林を抜けて、国道沿いに止めて置いたトラックに戻った。

 トラックの後部座席にあるライフル掛けにライフルをかけて、トラックに乗る前に大きな伸びをした。

 両手を大きく広げ、空に思い切り伸ばし深呼吸した。

 その時、わずかに俺の視線にバザードが映った。

 空にバザードが、飛んでいやがる。

 五羽くらいのバザードが、俺の頭上を……。

 俺を中心に、円を描いて飛んでいやがる。


 くそっ、ハンティングをしていたのは俺だけじゃなかったのか……。


最後に、一度投稿した後に二行ほど新たに加えてみました。

あるとさん、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハンティングという日本ではあまり見慣れぬ習慣を分かりやすい説明と、それをうまく使ったオチには面白味がありました。 [気になる点] この作品の後半部にバザードが主人公の頭を飛んでいたとありま…
[一言] こんばんは。 こちらの作品を拝読させていただきましたので感想書かせていただきます。 個人的な話になってしまって申し訳ないのですが、僕は中学生くらいのころからアメリカに住むのが夢でした。密…
[良い点] 趣味でキャンプをやっているのですが、 自然の中で考えを巡らせることは楽しいですね。 同じことは釣りなどにも言えるのでしょう。 [一言] ハンティングとは縁遠い生活を送っていますが、 興味深…
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