弟の予感
年月が過ぎ、僕たちはみんな大人になった。
家を出てからは、ほとんど家に帰らず家族との連絡も必要最低限だった。
だから、とても驚いたんだ。
「姉さんが結婚、、?」
それは、結婚式の招待状だった。
カレンダーに予定を入れるためにスマホを見たとき、ちょうど妹から連絡が来ていた。
『悪魔って幸せになるべきじゃないよね』
『私、結婚式には出ないから』
ぞくっとした。
文面なのに今までで一番負の感情が込められているような気がしたからだ。
「姉さんに知らせなくちゃ、、!」
スクロールして、姉の連絡先を探す。
ずいぶん下にあった小動物のアイコンをタップして、電話をかける。
『、、、もしもし?』
「もしもし、久しぶり姉さん」
『本当に久しぶりだね!元気にしてた?』
「元気だよ」
『、、なにかあったの?』
「実は、、、」
全て話した。
妹からの連絡も、僕の嫌な予感も
それなのに、姉は
「そっか」
と悲しげにつぶやくだけだった。
そのことに僕はなぜか腹が立った。
だって、ずっと思ってきたんだ。
姉さんは悪魔なんかじゃない、そんなわけないだろ!!って
どうして否定しない?どうして受け入れるんだ?
ずっと一緒に育ってきたはずなのに、知らないことが多すぎる。
姉の気持ちも妹の言葉の意味も、僕には分からない。
知りたい、とは思っているはずだ。
けれど、知ってはいけない気もする。
結局何も聞くことができないまま、結婚おめでとうとだけ伝えて電話を切った。
画面が暗くなったスマホ画面にうつる自分の顔を見ると情けない顔をしていた。




