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【完結】婚約破棄された悪役令嬢は男装騎士になって推しを護ります!ー女嫌いの王太子が溺愛してくるのは気のせいでしょうかー  作者: イトカワジンカイ
第2部 王宮編

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断罪劇

レインフォードの言葉に会場が水を打ったように静まり返る。

そして、数秒置いて、全員の視線がジルベスター侯爵に集中した。


「な、何を馬鹿な」


レインフォードの突然の告発に、さすがのジルベスター侯爵も動揺を隠さないでいる。


ジルベスター侯爵はごつごつしたジャガイモのような顔を強張らせてそう言った。

だが、そこはファルドル侯爵と双璧を成す、海千山千の貴族だ。


すぐに先ほどの動揺を微塵も感じさせない笑顔を浮かべた。


ファルドル侯爵は細身で鋭い刃物のような威厳を持っていたが、対するジルベスター侯爵は丸いフォルムに天然パーマの巻き毛で、一見するといかにも善人ぶった人物だった。


(だけど、”偽善者”って言葉がぴったりよね)


気色の悪い紫の蝶ネクタイに成金ばりのゴツイ金の指輪を付けているのが、余計そう見せているのかもしれない。


そのジルベスター侯爵は、レインフォードの言葉にすぐにわざとらしく大きく見開き、逆に問いかけた。


「ははは、殿下の言葉の意味が分かりませんな。なぁにを根拠にそんなことを」

「根拠、か」


レインフォードは確信めいてふっと小さく笑うと、玉座に座る国王を仰ぎ見た。


「陛下、ジルベスター侯爵が根拠を示せと言っています。この場ではっきりさせたいと思いますが、よいですね?」

「分かった。侯爵に関しては今後の王太子妃選定にも関わってくる問題だ。根拠が示せるのであれば、この場で示すといい」

「ありがとうございます」


そう言ったレインフォードはジルベスター侯爵に向き直ると言葉を続けた。


「と、いうことだ。陛下に許可をもらったことだし、ここで全てを明らかにしよう。まずは、貴殿が私の暗殺を指示したと証言する者がいる」

「はて、そんな嘘を言う輩は誰でしょうな?」


ジルベスター侯爵は十中八九、その証言者はリオンだと思っているのだろう。


首を傾げながら、とぼけた様子で演技じみてそう言った。

その態度は、侯爵はリオンを出しても無駄だと言う余裕の表れだろう。


「まずはリオン。証言してくれ」

「はい」


レインフォードに促され、聴衆の前に出てきたのは予想通りリオンだった。

リオンは、最初聴衆の目に晒され、緊張気味の様子であったが、すぐにレインフォードを見て証言を始めた。


「僕はレインフォード様の暗殺を手引きするようにジルベスター侯爵から命令されていました」


リオンの言葉に会場にざわめきが起こった。

だがそれにも動じず、ジルベスター侯爵は深いため息をつきながら言った。


「そんな出鱈目、誰が信じるというのか。はぁ……殿下、以前も言いました通り、子供の言う言葉に耳を貸す必要などありませんよ。それに、孤児院で拾われたどこの馬の骨かも分からない子供の戯言を、誰が信用できるというのですかな?」


レインフォードはその言葉に異を唱えた。


「リオンは〝どこの馬の骨〟という少年ではないさ。彼はクライレン子爵の息子だ」


「クライレン子爵家? はて、3年前に子爵一家は火災で全員が死亡したはずと記憶しておりますが? 何を証拠にそんなことを仰いますかな?」


「これが、リオンの身分を証明する証拠だ」


レインフォードの言葉と同時に、リオンが金時計を懐から取り出して見せた。

そこには中央に鳥が翼を広げ、蔦の楕円に囲まれた家紋が刻まれている。


「この紋章はクライレン子爵家のものだ。調査報告書には、リオンの遺体は見つかっていないと記されている」


「お待ちください、殿下。仮に、そこの少年が子爵家の人間だとして、なぜ、私がこの者に殿下殺害を指示したことになるのですかな? もしかして、この子供が私に殿下暗殺の罪を擦り付けようとしているのでは? そうだ、この者こそが暗殺犯です!」


まるで自分が被害者のような口ぶりでジルベスター侯爵が言った。

その言葉をリオンが叫ぶように否定した。


「違います! ジルベスター侯爵が僕の家族を殺したのは、殿下とファルドル侯爵だと言ったんです。だから復讐に協力してくれると。そして、サジニア様が王太子になった暁には、クライレン子爵を復興させてくれると言ってくれたんです。だから、僕はジルベスター侯爵の命令で、殿下の動向を襲撃者に伝えて、手引したんです!」


「ははは、まったく話にならないな。私はそんなことは言った覚えはないし、そもそも子爵は殺されたなんてことは知らないな。だって、子爵は火災事故で死んだのだろう?」


大仰に首を振って答えるジルベスター侯爵に向かって、レインフォードが冷たくそれを否定した。


「いや、あの火事は事故ではない。リオンが言う通り、子爵たちは火事に見せかけて殺されたのだ」

「殺された? どこからどうそんな発想になるのやら。そこの子供も殿下も、想像力が逞しいですな」


「子爵夫妻と娘のミスティの遺体が発見されたのは、それぞれの寝室だった。そして火元は、誰もいないはずの書斎だと証言がある。加えて、この火災は異常に火の手が早かったらしい。これは燃焼促進剤を使って意図的に火事が引き起こされたものだろう」


「だからと言って、私がそれを指示した証拠でも?」

「ファルドル侯爵、証言しろ」


レインフォードに促され、次に証人として現れたのはファルドル侯爵だった。


先日まで、謹慎処分を受けていたため、元々細面だった顔が、更に少し痩せたように見える。


だが、威厳はそのまま、背筋をまっすぐに伸ばし、証言を始めた。


「私と子爵は親友でした。私が、彼に最後に会った時、子爵は『ジルベスター侯爵がカゼンと通じている証拠を掴んだ。自分の身に何かあれば家族を頼む』と言っていました。そして、間もなくして火事が発生し、亡くなったのです」


「それで私が子爵を殺したと? ははは、子爵が掴んだという証拠があるならまだしも、子爵がそう言っただけで私が放火犯という証拠にはなりませんよ。とんだ言いがかりですな」


余裕の笑みを浮かべ、ファルドル侯爵を小馬鹿にした声音で言ったジルベスター侯爵に対し、レインフォードが静かな声で告げた。


「不正の証拠ならあるぞ」

「は? そんなバカな……」

「リオン、金時計を」


レインフォードの言葉に従って、リオンが金時計を差し出す。


すると、レインフォードは金時計の蓋を開けたあと、ぜんまい部分を逆に巻いた。

と、同時に時計盤が開き、中から白い紙切れが出てきた。


「子爵の残した形見であるこの金時計には、仕掛けがあった。そして、このようなメモが残されていた。そこにはこう書かれていたぞ」


そう言ってレインフォードはメモの内容を読み上げた。


〝ジルベスター、カゼンに繋がりあり、ジェストへの文書、花瓶から発見〟


確かにファルドル侯爵は子爵から証拠は「私の大切な者とその証と共にある」と言っていたとは聞いていたが、まさか金時計から見つかるとはスカーレットも思わなかった。


確かに子爵の残した言葉通り、「私の大切な者」であるリオンが、リオンの身分を証明する「その証」である金時計にあったわけだ。


レインフォードの言葉に会場がどよめく。

最初、レインフォードの告発を聞いていた時には戸惑いの方が強かった聴衆たちも、この言葉には動揺を隠せないようだった。


同時に、聴衆は徐々に疑わしい者を見る目でジルベスター侯爵を見始めた。


さすがに、この雰囲気に気づいたジルベスター侯爵は、少しだけ焦りの色を滲ませつつ、それでも怯むことはなかった。


「そんなメモが証拠になると、本気で思っているのですかな? その程度のメモで犯罪者扱いされては困りますね。皆さんもそう思いませんか?」


聴衆を味方につけようと思ったのか、ジルベスター侯爵はわざとらしく聴衆を見回してそう言った。


だが、そんなジルベスター侯爵を視界の隅に置いて、レインフォードが突然スカーレットに目を留めて尋ねた。


「スカー、ルーダスの町で食器屋に会ったことを覚えているか? そこでお前は食器屋の仕入れ先と改善案を作ったな」

「え? ええ、覚えています。確かケセド地方から高価な陶磁器を仕入れているせいで、損失が多くなっていましたね」


突然話を振られ、驚きつつもスカーレットは答えた。


ルーダスの町で、銀食器が欲しかったスカーレットは、食器の行商人の元でバイトをして、銀食器を譲ってもらったのだ。


その時、棚卸をしたついでに、利益計算と改善計画書を提示したのは覚えている。


だが、これまでの流れから全く関係ない話題が出たことに首を傾げたスカーレットに、レインフォードがさらに問いかけた。


「では、スカー。加えて質問する。ケセドはどこの領地だ?」

「ええとジルベスター侯爵領ですが……」

「正解だ。さて、侯爵。俺とスカーが旅先であった食器商人はこう言っていた。『ケセドと取引をしていた友人が3年前に何者かに殺された』と。それで彼は友人の販路を使って商売を続けたそうだ」


スカーレットはレインフォードの言葉の意味を考えた。

確か、先ほどの子爵のメモにはこう書かれていた。


〝ジェストへの文書、花瓶から発見〟と。


「まさか、その花瓶って……」


スカーレットが驚きの余り漏らした言葉に、レインフォードは大きく頷いた。


ケセドはジルベスター領にある地方都市で、そこではスカーレットの前世で言う『マイセン』のような、白磁に青い模様のついた陶磁器が名産だ。


それはもちろんカゼンにも輸出されているのだ。


つまり、食器商人の友人はケセドにいたということで、その荷の中には花瓶があった。そしてその中からジェストという人物への文書が見つかったということだ。


(たぶん、ジェストっていうのはジルベスター侯爵に協力しているカゼン側の人間ね)


スカーレットがそう考えている間に、レインフォードはタデウスに命じた。


「タデウス、事件の詳細を説明してやれ」


「かしこまりました。レインフォード様がルーダスで会った商人の友人は、ケセドの特産品である陶磁器をカゼンに運ぶ輸出業をしていました。その花瓶の中に、密書が隠されていたのです。そこにはカゼンの”ジェスト”なる人物に向け、宰相になった際の取り決めが書かれた文書が入っていました」


やっぱりスカーレットの読みは当たっていた。

タデウスはさらに報告書を読み上げた。


「逮捕された商人の証言では、密書が入った花瓶の入った荷は、ジルベスター侯爵家の使いから預かったと証言していました。そのジルベスター侯爵の使いについて、詳細を尋問したようとした矢先、男は刺殺体で発見されたのです」


そこまで聞いたレインフォードは、今度はアルベルトの名を呼んだ。


「アルベルト。ジェストについて調べたか?」


「はい、ジェストとは隣国カゼンのジェスト伯爵のことですね。我がディアスブロン王国に対して融和政策を推し進める外交官の一人です。僕も何度か外交官補佐の仕事で会ったことがあります」


「つまり、だ。殺された男はジルベスター侯爵からジェスト伯爵への密書を自分でも知らずに運んでいた。そしてそれが発覚したため、殺された。そう考えられるのではないか?」


ジルベスター侯爵の顔からは、先ほどまでの偽善者ぶった笑顔が消え失せ、レインフォードを睨むと声を荒げた。


「だが、その密書に私の名前が書かれていたとでもいうのですかな! そうでなければ言いがかりだ!」


「残念ながら密書には貴殿の名前は無かったようだ。密書も証拠品として子爵が押収したらしいが、火事で焼失したと考えられるだろう。だが、子爵の告発メモ、そして刺殺された食器商人の証言は一致している。それでも認めないつもりか?」


「えーえー当たり前じゃないですか! 失われた証拠も証言も、私を貶めるための辻褄合わせにしか聞こえませんな」

「そうか、認めないか」


レインフォードは呆れたように小さくため息をついたが、すぐに顔を上げてカヴィンに命じた。


「では、最後の証言者を呼ぼう。カヴィン、デニスを呼べ」


カヴィンによって引き出されたのはスカーレットの元婚約者であるデニスだった。

引き出されたデニスの姿を見て、ジルベスター侯爵とミラが小さく息を呑んでいるのが見えた。


「デニス、この手紙に見覚えはあるか?」


レインフォードはカヴィンから手紙を受け取ると、デニスに見せながら言った。


「はい、この間ミラから貰った手紙に同封されていたものです」

「では、これはミラから貰ったものだと言うのだな?」

「はい、いつものようにカゼンに行って、ジェスト伯爵に届けてほしいと」


「ジルベスター侯爵。この手紙の中には、私と貴殿の娘ミラが婚姻を結ぶという旨と、だから暗殺については中止とする旨。だが、領地分割に関しては以前の契約通りだ、という旨が記されている。これをミラが持ってきた、ということは、少なくとも、この手紙はミラがジェスト伯爵に宛てて書かれたと考えて十分な状況だが?」


出された証拠は少なくともミラが暗殺に加担しているという確たる証拠になる。


そうなれば、ジルベスター侯爵は実の娘を切り捨てることなど不可能だ。


レインフォードの完璧な理論に、ジルベスター侯爵は拳を握りプルプルと震わせながら、三白眼の目を悔し気に歪めていた。

レインフォードは更に言葉を続けた。


「まさかミラが勝手にカゼンと繋がっていた、とは言わないな。大方商人の男が運び屋として使えなくなった代わりに、商家であるデニスを利用してミラに運ばせたのだろうな」


レインフォードの言葉に、ジルベスター侯爵は何の反論も言わなかった。


(これでジルベスター侯爵がレインフォード様暗殺の首謀者であることは確定ね)


聴衆達も、有力貴族の断罪に、衝撃を受けた様子だ。

誰も言葉を発さず、ただジルベスター侯爵を非難の目で見ていた。


そんな静寂を破ったのは、一人の女性の声だった。


「そ、そんなのデニスがでっちあげたんです! 私は、デニスにそんなこと頼んでない!」


ミラが叫びながら訴える言葉を聞いたデニスは、慌てた様子でミラに目を向けると、焦った声を上げた。


「何を言うんだ! 一緒に過ごして愛を交わしたあの夜に、君が持ってきたものだろ!」


デニスの言葉に、レインフォードが皮肉気に小さく笑った。


「ほう。愛を交わした、ね」

「そ、そんなのはこの男の嘘です! 私とデニスはそんな関係じゃありません! だって私は殿下を愛しているのですから!」


叫びながらデニスを拒絶する言葉に、デニスは悲壮な顔をして訴えた。


「ミラ、何を言っているんだ! 殿下と結婚しても、一番愛しているのは僕だと。だからこれまでもこの関係でいようと言ったじゃないか!だから僕も納得して」


「嘘言わないで! 殿下、こんな男のいうことなんて信じないでください!」


二人が言い合いをしている様子を見たレインフォードは、ミラとデニスを冷ややかに見ながら、侮蔑を含んだ笑みを漏らした。


「まったく、醜いな。アルベルト、この二人の関係をどう思う?」


「二人は恋人同士なのは間違いありません。だって、デニスは僕の義姉であるスカーレットとの婚約破棄し、ミラと婚約するために義姉さんを捨てたのです」


「スカーの婚約破棄については、私の耳にも入っている」


(え? そうなの!?)


レインフォードはいつの間に自分とデニスの婚約破棄について知ったのかと、スカーレットは気になったが、勿論口を挟める雰囲気でもない。


一方、憎々し気にデニスを見据えたアルベルトは、更にデニスを糾弾した。


「卒業パーティでもデニスはミラを伴って参加し、婚約者になるのだと言っていました。学生たちの間でも、義姉さんがミラを虐めてただなんていう噂が流れましたが、義姉さんはそんな事をする人間ではありません!」


アルベルトの言葉に、ミラは眦を上げて怒鳴った。


「そんなの皆が勝手に噂してただけで、私はデニスの婚約者なんかじゃない!」


「じゃあ、聞くけど、どうしてお前たちは二人で一緒にカゼンに向かったんだよ。ちゃんと記録があるんだけど? しかも二週間も空けずにさ。何の関係もない男女二人が頻繁に隣国に旅に出る。それだけで不貞を疑われてもしかたがないんじゃないかな?」


冷ややかなアルベルトの言葉に、ミラはぐっと言葉を詰まらせた。


レインフォードは口を歪めただけの笑みを浮かべ、デニスに問いかけた。


「デニス、ミラはお前とは関係ないと言っているが? このままだと、貴様だけが密書を運んだ罪を問われることになるが?」


「ミ、ミラ! 本当の事を言ってくれ! 僕たちは愛し合っていたじゃないか! 侯爵も、ミラと結婚させてくれると言いましたよね! 万が一僕が罪に問われることがあっても、僕を守ってくれるって言ったじゃないですか!」


デニスの悲痛な叫びは虚しく会場に響くだけで、ミラとジルベスター侯爵がその声に答えることはなかった。


無言でいるミラとジルベスター侯爵の様子を、デニスは信じられないものを見るような表情で、青ざめながらふらふらとミラに歩み寄っていく。


「ミラ、僕を裏切らないよな。僕のミラ……ほら、いつもみたいに愛を囁いてくれ。そのカナリアのような美しい声で、愛してると言ってくれ……」


そう言いながら力ない足取りで、ミラの元に歩み寄るデニスの目は虚ろで、まるで幽鬼のようだった。

デニスはミラの肩を掴んで縋った。


「ミラ……ねえ、僕を愛しているって言ってくれよ……ミラ……」

「や、止めて! 触らないで! 私は……私は王太子妃になるのよ! あんたなんて知らない!」


ミラはデニスを突き飛ばし、髪を振り乱しながら叫んだ。


突き飛ばされ、拒否されたデニスは、そのまま吹き飛ばされるようにテーブルにぶつかる。


同時に、ガシャンという大きな音を立てて、テーブルに置かれたグラスや食器が割れ、料理と共に床に散らばった。


デニスを拒絶したミラの姿には、今まで見せていた花のような可憐さも、妖精のように透き通った美しさの欠片もなかった。


「殿下! 殿下は私を信じてくださいますよね! 私のことを愛しているから、一緒に宮殿で過ごしてくださったのですね!」


「宮殿で一緒に過ごした、か。確かに建前上、お前とは過ごしたが、私はお前に一度も愛してるとも、好きだとも言っていない。それに、私には心に決めた女性がいる」


「そ、そんな」


冷酷に言い放ったレインフォードの表情は、彼が心から女性を嫌悪する時にいつも見せるものだった。

レインフォードの言葉に、とうとうミラはその場にへなへなと座り込んだ。


「さて、これにてジルベスター侯爵およびその娘ミラ、デニスの全ての罪が明らかになった。衛兵、彼らを捕らえろ」


レインフォードの言葉に、衛兵たちが一斉に動いた。

ジルベスター侯爵とミラは、その身柄を抑えられ、次はデニスを捕らえようと衛兵が足を進めた時だった。


地の底から湧き上がるような呪いに満ちたデニスの声が会場に響き渡った。


「お前が……お前がミラをたぶらかしたんだ! 俺のミラを返せ!」


デニスはそう叫んだかと思うと、衛兵を突き飛ばし、床に散らばったガラスの欠片を取り上げた。

そして、デニスはレインフォードへと襲い掛かった。


「レインフォード様! 危ない!」


いよいよ次話でラストです!

もうちょっとだけお付き合いくださいませ!

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