idea note 4
年末年始の大掃除というわけでは有りませんが、本棚にあったノート類をパラパラとめくっていたらメモ書きが出てきましたのでちょっとだけ加筆して載せておきます。
メモ書きには「社史編纂室便り」という仮題が書いてあったことを付記しておきます。
創業百年かどうかはわかりませんが、大手老舗企業の東京本社ビルの一角に社史編纂室が有ります。
そこには定年間近のおじさん達が十人近く居ますが、その中に一人だけ二十代後半ぐらいの主人公がいました。
何か失敗して社史編纂室へと飛ばされたのか、それとも元々社史編纂室を望んでいたのか、その辺の設定は迷っています。
おじさん達と言っても個性豊か、一癖も二癖も有る人達です。中には過去に何らかの失敗をして社史編纂室へ左遷されてきた人、上層部というか経営陣に睨まれて社史編纂室へ異動になった人など、社史編纂室へ来た経緯は様々です。
一言で社史と言ってもバブル景気が崩壊して会社自体の経営が怪しくなったことも素直に書かなくてはいけませんし、良いこと尽くしでバラ色の社史というわけでは有りません。
ある日ある時、主人公達社史編纂室の面々が過去の不正事件について調べているとどうにも腑に落ちない点が出てきた。主人公がおじさん達に尋ねてみると答えはバラバラ、幾つかの説が出ていたようだ。幸いにしてマスコミから注目されたのも僅かな期間だったし、新聞や雑誌の記事として残っているのもごく僅か、関わった人達は退職へ追い込まれたり、左遷されたりで終わったようで逮捕された人は居ないようだ。
しかし、気になった主人公は社史編纂室の面々へ「調べてみたい」と呼び掛け、おじさん達は渋々付き合うこととなった。
全国各地の支社や支店、営業所へ左遷されていった当時の関係者に取材すべく、主人公達社史編纂室の面々は出張を繰り返す。勿論、表向きには社史の編纂に必要な取材と言うことで出張旅費を捻出して貰っているが、実際にはこっそりと当時の関係者と面会して話を聞いている。時には退職した人を探し出して訪ねている。
本社の経理が保管している帳簿をひっくり返して怪しい数字を探し出し、何か月もかけてようやく真犯人へと辿り着く主人公達だったが、相手が社長もしくは次期社長という社内でも大物というか、絶対的な立場だったことで主人公達社史編纂室の面々は手が出せなかったが、不正は不正だし、左遷された人、退職へ追い込まれた人達の名誉も回復したい。一方で本件が表沙汰になれば会社の社会的な信用が失墜することは目に見えている。
「それでも、不正は良くない」
それで社史編纂室は意見が一致、解雇も覚悟で真犯人へ証拠を突き付けようとしたが、実は社史編纂室に一人だけ当時の関係者がいて「今まで話さなかったけど……」と自分が何故、社史編纂室へ配属されたかを話した上で「自分が全ての責任を負うから」とマスコミ各社へメールを送信、社内は上を下への大騒ぎとなるが、結果として真犯人は警察に捕まることとなった。社史編纂室の面々も警察から事情を聴かれて素直に答えた。
各地に左遷された人達は名誉を回復して本社へ戻ってくる人、本来有るべき地位へ戻る人、退職へ追い込まれた人の中には本来得るべき給料を支払って貰った人など、それぞれに見合った対応をしてもらった。
そして社史編纂室では皆を代表してマスコミ各社へメールを送信したおじさんはこれで満足したのか、事後処理が終わると退職した。
他にも一人か二人が他の部署へと異動となって持っている資格を生かしたり、特技で会社に貢献できることとなった。しかし、主人公はそのまま社史編纂室へと残り、文字通り社史編纂に日々四苦八苦する日々を送ることとなる。
そうは言っても他の部署を手伝いに行って時には遠方への出張に付き合わされたりと、忙しいながらも充実した日々を送っているようです。
人生の中で悪役みたいなおじさんに絡まれること多々ありましたので社史編纂室も男性だらけのイメージです。
主人公を女性に置き換えるとか、社史編纂室のメンバー半分を女性に置き換えるとか、それもできるかもしれません。
私自身がアニメや漫画、特撮を観て育ったので他の作品に関してはアニメ化や漫画化をイメージして書いています。しかし、この作品に関しては実写ドラマ化のイメージを持って書いています。
旬の俳優さんにちょっとだけ野暮ったくキャラクターを作って貰い、社史編纂室の面々は五十代、六十代の個性派俳優に集まって貰い、毎回ゲストに大物女優を招いて真犯人役には当然大御所俳優に演じて貰うとか、そういう感じです。
大御所俳優が高笑いと共に警察車両に押し込まれる場面とか、想像しただけでもゾクッとしませんか?
それはさておき、江戸時代には将軍家や各大名家でもそれぞれで歴史を編纂しておりましたし、将軍家では老中同士、大名家では家老同士で派閥争いもありました。また不正事件も少なからず有ったことでしょうし、関係者が切腹や斬罪という結末もあったでしょう。
ですから舞台を現代から江戸時代へ置き換えてみるというのも面白いかもしれません。