片親政策/アピ婚
2xxx年。とある国で女性の晩婚化による婚活問題、少子化対策として片親政策が施行された。海外ではシングルマザー保護法と呼ばれるその政策はかつての男尊女卑の社会ではなく女性の立場を優位に立たせるものという事で、同様な問題を抱える各先進国から注目を浴びていた。
実際どのような政策なのかというと、
まず未婚の男性の所得税が往来の1.5倍に引き上げられ、未婚の女性の所得税が従来の1.1倍になった。
これにより女性と男性の収入格差がなくなった。
次に子供を一人持つ女性の所得税が1.0倍になった。
これによりシングルマザーの金銭的負担が減り、一般企業がシングルマザーを採用しやすくなった。
次に結婚した男性の所得税が1.0倍になり、結婚した女性の所得税が0.9倍になった。
これにより結婚を希望するカップルが増えた。
次に男性の結婚は、同じ女性と子供を二人以上産んだ場合にのみ認可されることになった。
これにより仮に一人目の妊娠で男性が浮気をした場合、女性側が離婚裁判や弁護士費用を用意しなくても次の男性を探すことが可能になった。
次に結婚した男女の子供が二人以上で一人増えていく毎に所得税が男性は0.9倍、0.8倍…に女性も0.8、0.7…と同様に変わっていった。
これにより子供を持とうとする親が増えた。
更に子供の親権は原則女性が持つことになり、男性は結婚して初めて親権を持つことが可能になった。
これにより一瞬、複数の女性と関係を持つ男性が増えたが、親権は手に入らないのでそのまま続ける金持ちの遊び人の男性と身を固める男性に二極化した。
加えて離婚になった場合、親権は原則女性側が持つことになり、不倫などによる慰謝料は女性側が男性に支払うことになった。
これにより簡単に離婚しようとする夫婦が減った。
最後に親権を持たない男性の資産や遺産は死後、政府の元に返されることになり、その遺産や資産は全てシングルマザーの手当に回されることになった。
これにより自分の子供に遺産を多く残したい男性は結婚するようになっていった。
この政策によりかつての男女のパワーバランスが崩れた。これまでの男性が女性を選ぶ社会ではなく女性が結婚相手を選ぶ社会になった。
この政策の影響により、それまでの婚活市場に革命が起きた。アピール婚活、通称アピ婚と言う婚活のシステムが誕生したのだ。
これまでの婚活パーティーは志願書に自分のスペックと結婚相手への条件を記入する項目しかなかったのだが、アピ婚の婚活パーティーでは最低限のスペックと、結婚相手への条件を書く代わりに自分が相手に対して出来ることを書く項目、すなわちアピールポイントを書く欄が出来たのだ。
このアピールポイントは具体的であればあるほどよく、例えばハゲでも愛せます、身長の高さは気になりません、こんな性的趣向があります、掃除洗濯出来ます、などあくまで自分が出来ることだけを書くことにより、非常識な条件を突きつける人たちや無理な要求をする人は淘汰され、純粋に生涯のパートナーを探す人たちが集まるようになっていった。
一例として、今度結婚することになった、マコト、ノゾミカップルのプロフィールを紹介しよう。
花園マコト 42歳 5月22日生まれ
一人暮らし 〇〇出版社勤め
アピールポイント
ルンバを持っています
野菜炒めとチャーハンを作れます
食べ物の好き嫌いはありません
性欲は週に2回、交渉出来るくらいにはあります
子供が出来たら育休を取ります
月に一度ドライブに連れていけます
名探偵コナンを全巻持っています
結婚してからも奥さんが働くことに抵抗はありません
親戚づきあいは無理にしなくていいです
石田ノゾミ 38歳 7月2日生まれ
実家暮らし 〇〇学校教員
アピールポイント
結婚してからも働く意思があります
ハゲていても大丈夫
太っていても大丈夫
風俗通いは咎めません
実親の介護経験があります
家計簿のやりくりが上手です
英検準一級
接待ゴルフなどの会社づきあいに理解があります
犬の散歩を欠かしたことはありません
子供好きです
スイーツが好きです
SMの経験があります
こんな感じの二人が意気投合し、話し合いと数回のデートを経て結婚することになった。