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3 アマノさん

「いってきます!」


 そう言って僕は外へ出ます。行き先は学校です。

 道のりは歩いて30分ぐらいで、ちょっと長め……。

 ですが歩いている最中に、通学途中のお友達と会えるので楽しみに歩いています。


 丘を下っていくと、道が少しずつ荒れていきます。

 周りは茂みで、少し湿った土が僕の靴をお出迎え。

 ここには色んな虫さんがいて、みんな違う生活をしています。

 こないだはなんとモグラさんが居たんですよね。直ぐに逃げてしまいましたけど……。


 雨の日は土が泥になるので、凄く通るのが大変なんです。

 でもここ最近は晴れてましたので歩きやすいです。


 そうしてずっと進むと、道が少しずつきれいになっていきます。


「ここもいつか車が通る道になってしまうのでしょうか……」


 アスファルト……と言うらしいです。

 土は土のままでいい気がするんですが、車にとっては合わないみたいで……。


「でも、まだ鳴き声が聞こえます」


 虫さん達はどんどん丘の方に逃げてきてるような気がします。

 ここに居るとなんだか心が落ち着かないので少し駆け足気味になってますね。

 日当たりもあまり良くないからかもしれません。


「あら、朝比奈くん」


 車通りが出てきた辺りで、誰かから声をかけられました。

 大人のお姉さんみたいな優しい声なので、見る前に誰かはすぐに分かりました。


「アマノさん! おはようございます!」

「おはよう。今日も元気ね」

「えへへ、はい!」


 アマノさんは、生徒会の会長をしている凄い人です。

 アマノというのはあだ名で、本当の名前は天ノ峰ヒカリさんです。

 お父さんはこの町のリーダーなんだとか?

 でもお父さんと仲が悪いみたいなので、僕はあまり話題にしません。


 それにしても、アマノさんと通学の時に会うなんて珍しいです。

 いつもはもっと早くに学校へ居るような気がするんですが……。


「アマノさん、今日はちょっと遅いんですね?」

「え? 今日休みよ?」

「……? ええ!? アマノさん風邪ですか!?」

「いやいや違う。日曜日よ? 今日」

「にちようび……。あっ! ああ……」


 学校お休みだったことを忘れていました……。

 そういえば昨日「また来週!」って先生が言ってましたね……。


「露骨に落ち込むの、見てると本当面白いよ。って、いや、泣かないで!?」

「だって……悲しいんです。みんなに会えると……思っていたので……」

「毎日会えてるのにそう思えるのね」

「ワクワクしてたので……」

「あーなるほどね。うん。楽しみがなくなると辛いもんね」


 泣きたくはないですが、出てしまうのです。

 ……でも直ぐに治まります。たぶん男の子なので。

 両目を左腕でこすって、落ち着きましょう。僕。


「それなら、上がっていっていいよ。午後にシタソラが来るし」


 シタソラさんは、夢空トモリさんのことです。

 夢空姉妹さんの妹のほう。だからシタソラと呼ばれています。

 藍色の髪の毛がとっても似合う方で、とっても優しくて、それでいてちょっと不思議で、面白い人なんです!


「わー! そうなんですね!」

「立ち直り早いわね……」

「僕はいつも元気いっぱいです!」

「はいはい。じゃあ決まりね」


 ですがお友達の家に上がる前に、朝倉さんに伝えておく必要がありそうです。

 今からだとアマノさんにもご迷惑かと思いますし、午後にまた来ることにしましょうか。


「僕、朝倉さんに報告してきます!!」

「あーそっか。保護者さんだもんね。分かったよ」


 丘に急いで向かう僕に、アマノさんは手を振ってくれているのを見逃しません。

 僕もすかさず手を振り返して、その場をあとにします。


 先ほどは下りだったので簡単でしたが、上りになるとちょっと大変です。

 荒れ地を通っているときに、さっきまではなかった疲れが出てきます。

 小走りだからかもしれませんが、それ以上にこの上りはいつも苦労します。

 ですが帰れば朝倉さん達がいるので、大変なのは今だけなんです。


 そうして整った丘について、花々や広がる緑の自然がこんにちは!

 僕たちの家、朝倉研究所の中に入ります。


「朝倉さーーーーん!!」


 僕の呼ぶ声に数秒後、朝倉さんが応えるように部屋から出てきてくれます。


「どうしたんだいアルト? 忘れ物かい?」

「今日休みでした!!」

「えぇ!?」


 二人して間違えていたのでした。

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