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転生生活二日目(3):ギルドクエスト

投稿順間違えてました。

一つ前の部に割り込み投稿しましたので、ご注意ください

 宿に入ると、外の喧噪が少し遠ざかった。

 宿の主人は「アウラさん、上の階の部屋を好きに使ってくれ」とだけ言って、外に出て行ったので、室内には自分とアウラとマテラの、三人が残される。


 部屋に戻ろうかと思っていると、アウラが人差し指で、ちょんちょんと自分をつついてきた。

「チシロさん、アウラちゃん! 少し相談があるのですが……」

「相談ですか? もちろん大丈夫ですよ」

「ありがとうございます……それではこのあたりに」

 アウラは、殺風景だった一階のロビーの隅でカードを一枚破り、小さなテーブルと向かい合わせのソファーを取り出した。

 アウラが片方に座ったので、自分はその向かい側に腰を下ろす。


「それでアウラ、相談というのは?」

「チシロさん……ギルドクエストを、受注してみませんか?」

「ギルドクエスト?」

 アウラは、自分が黄金に参加するときに使ったカードを取り出した。

「はい。ギルドクエストというのはこのカードを通して受注できる、ギルド専用のクエストです」

「それは、普通のクエストとは何か違うの?」

「簡単に言えば、ギルド専用のクエストですね。普通のクエストよりも報酬が高いです」

 なるほど、それもギルドに参加することで得られるメリットというわけか。

 特に自分は、この世界ではまだ何も実績がない状態だから、ギルドの名前でクエストを受けられるのはありがたい。

「マテラはどう思う? 自分としては……やってみても良いと思うんだけど」

「もちろん、チシロさまに賛成です」

「マテラちゃんも賛成ってことね! それじゃあ早速お試しで、一つ受注してみるね!」


 そう言って、アウラはギルドカードを指先で操作した。

 少し悩んで「これでいっか」と呟いて、見せてくれた画面には受注したクエストの情報が書かれていた。


<<山龍討伐>>

 ランク :ゴールド以上

 人数  :5〜150人

 ポイント:150ポイント

 報奨金 :1万2000G

 概要  :山龍が畑を荒らして困っています。なんとかしてください。


 お試しってレベルじゃない気がするのだが……

「アウラ、これ、本当に自分達だけで達成できるの?」

「難易度は全く問題ありません。人数が五人以上というのが面倒ですが、他のクエストは時間がかかりそうですし……チシロさん。一緒にクエストに参加してくれそうな知り合いはいませんか?」


 知り合いと、言われても……

 何せ自分は、こっちの世界に来てまだ二日目だというのに。

「自分の知り合いと言われても、転生担当者の人ぐらいですが……」

「転生担当者ということは『ギルド』の職員ですね。冒険者の募集をお願いできるかもしれません」

「なるほど……でも連絡って、どうやって?」


 手紙でも書けば良いのかと思って戸惑っていると、フードの中からマテラが顔を出した。

「チシロさま、ステータスカードを使えば連絡ができそうですよ」

 マテラはフードの中からステータスカードを取り出して、画面を何度か操作する。


<<連絡>>

 ラビ

 アウラ


 そこにはラビとアウラの名前が表示されていた。

 宿の主人や、村人達や村長の名前が出てこないのは、自分が彼らの名前を知らないからだろう。

 マテラの名前がないのは……そもそも、マテラはステータスカードを持っていないから当たり前か。

 詳しい仕組みはわからないけど今はどうでも良いとして、ラビの名前をタップする。


<< ラビ の呼び出しを行いますか>>

 [はい] [いいえ]


 続けて[はい]を選択すると、画面が切り替わって待機状態に切り替わり、しばらくすると画面が通話中に切り替わった。


『はい……ラビです。チシロさん? 昨日ぶり……ですね。転生生活は順調、ですか?』

「こんばんは、チシロです。転生生活は、まあ順調です」

『はい……それで、何かご用でしたか?』

「実は、いろいろあって……」


 ステータスカードに向かって、今日あったことを簡単に話す。

 森でアウラに出会ったこと。

 彼女がギルマスを務める黄金というギルドに入ることになったこと。

 黄金のギルドクエストに参加したいこと。

 そのために、パーティーメンバーが必要になること。

「……そういうわけで自分たちは、クエストに参加できる冒険者を探しているんです」

 そうまとめると、数秒間考えるような間があった。

『わかり……ました、そういうことなら、任せて……ください』

「ありがとうございます!」

『あ……それと、チシロさん。もう一人、一緒に参加しても……良いですか?』

「一緒に? それは、構いませんが」

『それでは……早速、準備をします。明日の朝には、そちらにつくようにしますね……クエストに()()()()のは久しぶり……ですが、足を引っ張らないように、頑張ります』


 ラビさんは最後にそう言って、通話が終了した。

 ……おかしい。

 ラビさんに「冒険者の募集」をお願いしたら、ラビさんが冒険者として参加することになってしまった?

 アウラの生暖かい目と、マテラの少し冷めた目が、自分を睨み付ける。

「……チシロさま?」

「と、とにかくこれで、二人仲間が増えたね。自分とアウラと、ラビさんとラビさんの協力者のだれか。あと一人、集めないと……」

 自分だって、まさかラビさん自信が参加するとは思わなかったんだから、しょうがないじゃん……


 結局その後、宿の主人に「この村に、クエストに参加できる人はいるか」と聞いたら、「水くさいことを言うな」ということで、宿の主人自身が参加することになり、無事にメンバーが五人集まった。


 アウラは元々冒険者だから良いとして、他が

自分(チシロ):スライムすら倒せない底辺冒険者

・ラビさん:ギルドの受付

・ラビさんの知り合い:ギルドの受付の知り合い

・宿の主人:宿の主人

 みたいな構成になったわけだけど……


 本当に、大丈夫なのだろうか。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前の話と、話がつながっていない気がするのですが。何かが一話、抜けている違和感があります
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