孤児院にて
6ヶ月後………
太陽が登り、清々しい朝日が街を照らしているが、その街の一角にある教会の窓が勢いよく開くと静かな街に怒鳴り声が響き渡った。
「くそカラスどもめ……!」
声の主は、ユキのようで清々しい朝には似つかわしくないカラスの鳴き声が不愉快だったようで追い払うために声をあらげたようだ。
カラスが去ったあとも何とも言えない顔をしてブツブツと文句を呟き、彼が寝ていたであろうベッドのシーツや掛け布団などを綺麗に整え部屋を出ていく。
部屋を出ると隣の部屋の前に移動するとユウスケの名を呼んでドアをノックしている。
どうやらまだ寝ているユウスケを起こしに来たらしいが、返事がない所をみるとまだ寝ている様だ。
しかし、ユキはお構い無く部屋に入りユウスケに声をかけて起こすと、ユウスケはようやく目を覚ますがまだ眠いせいか目を擦り、返事にも元気がない。
「顔洗ってちゃんと目を覚ましたら外の貯蔵庫から食材よろしくね!俺は先に行って火の準備とかしてるから」
そう伝えるとユキは、部屋を出ていくがユウスケは再び夢の中に戻ろうとしていた。
そんな行動を読んでいたのか、ユウスケが再び眠りにつこうとした瞬間、部屋が閃光に包まれなんとも言えないユウスケの声が教会中に響き渡っていった。
「これでアイツも懲りるだろ」
あの閃光を発生させたのはもちろんユキであるが、本人的にはお灸を据えた感じなので特に罪悪感はなく少し足早に台所へ向かうのだった。
※
「さて………やりますね〰️」
台所に着いたユキが袖を捲るとテキパキと慣れた手付きで調理の準備に取りかかっていくと、あの閃光ですっかり目が覚めたユウスケが少し不機嫌な様子でやって来た。
何か言いたそうなユウスケだが、何も言わずにとりあえずは先に食材を持ってこようと台所から直ぐ隣にある食料庫に向かうその後ろではユウスケをからかうかのようにニタニタしているユキの姿が見えた。
「そう言えば、今日は学園に行く日だよね?」
大量の食材を運んで来たユウスケがそう言うと先程までふざけていたユキの姿はなく、真剣な表情に変わって頷いていた。
「その話は、ご飯を食べてから! ずっと様子を見てたけど心配はほぼなさそう………でも、油断はならんさ」
深いため息をつくユキにユウスケも同じ気持ちのようで今日の事を思うと全く気持ちが乗らないでいる。
少し、重苦しい雰囲気が漂い始めたがユキは話題を変えて朝食を作るとユウスケも何となく察したらしく気持ちを切り替えて朝食の準備に取り掛かる。