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魔法少女が見ている夢は?  作者: 原口もとや
魔法少女が見ている夢。
5/14

05

桜子はずっと緊張していた。

最初の挨拶から。

休み時間も。

授業中も。

ずっと緊張していた。

周りの人達はいい人ばかりで。

すぐに仲良くなれるかもしれない。

でも……。

桜子はでそうになるため息を飲み込んだ。

ここでため息をしてはいけないことぐらい分かる。

そういうつもりじゃなくても。

あまりいい印象を与えないことぐらいは。


桜子(早く家に帰りたいな……)


家に帰れば大好きな家族がいる。

今日はこんなことがあったって話せる人がいる。

桜子は家族が大好きで。

早く家族に会いたいと思っていた。


クラスメイトA「お昼ごはんね」


クラスメイトA「いつもみんなで食べてるんだけど」


クラスメイトA「一緒にどうかな?」


クラスメイトB「他のクラスの人もいるしさ」


クラスメイトB「部活案内とかもできるしね」


昼休みの時間。

近くの席のクラスメイトの言葉。

善意で言ってくれてるのは分かる。

すごくありがたいとも思う。

でも……。

桜子は昔からわいわいしのが苦手だった。

できるだけ少人数で静かにしていたいと思っていた。

きっと……。

普通ならこの人達も私をお昼ごはんに誘わない。

私が転校生だから誘ってくれてるだけ。

そう少しだけ卑屈になる。


クラスメイトB「もちろん、桜子さんがいいならだけど」


クラスメイトA「うん」


クラスメイトA「うちらって騒がしいからね」


クラスメイトA「そういうのが苦手なら断っても大丈夫だから」


そうも言ってくれる。

なんだか逆に断りづらくなった。

いい人のお誘いなんだから。

最初ぐらいは付き合ったほうが……。

そう考えて返事しそうな時だった。


へちる「あの……」


1人の少女が桜子に声をかける。

小さな体にセミロングぐらいの髪。

それに……。

ぼそぼそっとした小さな声。

あまり目立たないタイプで。

桜子は今初めて存在を認識したぐらいだ。

でも……。

確か……。

あの小悪魔が……。


クラスメイトA「へちるちゃん、どうかしたの?」


クラスメイトB「桜子さんに用事があるの?」


へちる「え……そ……その……」


クラスメイトの言葉に少し怯えた雰囲気のへちる。

別にいじめられてるといった様子はなくて。

慣れてない人には誰にでもこんな感じななんだろうなって……。


へちる「う……うん……」


へちる「えっと……ちょっと……し……知り合いっ……」


クラスメイトA「桜子さんとえちるちゃんって知り合い?」


えちるではなくて桜子に聞くクラスメイト。

きっとそうした方が話が早いと思ったのかもしれない。


桜子「うん」


桜子「少し前からの」


クラスメイトB「そうなんだね」


へちる「だから……一緒に……ご飯……」


へちる「食べたいなって……」


たどたどしい言葉だけど。

十分にへちるの言いたいことは伝わったし。

桜子はそれがありがたいとも思った。

へちるとの方が静かに過ごせそう……と。


桜子「分かった」


桜子「一緒に食べよう」


桜子「えっと……」


桜子「そういうことだから」


桜子「誘ってもらえて嬉しいけど……」


クラスメイトA「ううん」


クラスメイトA「大丈夫、大丈夫」


クラスメイトB「えちるちゃんが自分から誘うって珍しいしね」


クラスメイトB「もう2人は仲良かったりするの?」


桜子「うん」


へちる「う……うん……」


桜子ははっきりと。

へちるはおどどと。

それぞれ返事をした。

やっぱりこの子が魔法少女だよね。

事前に教えてもらった容姿や話し方が同じで。

それに……。

私が同じ魔法少女だって気がついたから。

こうやって話しかけてくれたんだなって。

へちるは見るからに人見知りで。

そういうことがとても苦手そうなのに……。


桜子「もしおすすめの場所があるなら」


桜子「そこを教えてくれたら嬉しいな」


へちる「う……うん……」


へちる「静かな……とこが……ある……よ……」


相変わらずぎこちなくしゃべるへちる。

でも、いい子なのはなんとなく分かって。

この子と仲良くなれたらいいなって。

桜子は思った。

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