02
朝のHR前。
いつもと同じ景色。
いつもと違う雰囲気。
教室が少しざわめいていて。
あちらこちらでお喋りが聞こえる。
あさひとえちるの2人は。
うまく状況を理解できてなかったけれど。
すぐに友人が来て教えてくれた。
和久「転校生が来るらしい」
いつものようにポケットに手を入れたまま。
ぶっきらぼうな感じで。
和久は言って……。
あさひ「それはいきなりな話題だな」
あさひも気楽な感じで返事をする。
和久とは入学してからの付き合いで。
最初は不良の類かと2人は思ったけれども。
話してみると気さくで優しく。
それに想像以上に真面目だった。
だから最初は怖がっていたえちるも。
今では普通に喋れるようになった。
えちる「……わたしも……知らなかった……」
和久「クラス中そんな感じみたいだぞ」
あさひ「転校生って初めてだな」
和久「俺も」
えちる「わたしも……」
あさひ「でも……」
そう言って。
あさひは言葉を止めた。
えちるは確か……。
違うクラスだったけど……。
あの……事件の……後に……。
和久「どうかしたのか?」
和久「ぼけっとして」
あさひ「何でもない」
あさひ「ってわけでもないな」
あさひ「朝から調子が悪いんだよな」
えちる「うん……ずっと……眠そう……」
和久「保健室で寝とくか?」
あさひ「そこまでじゃないな」
あさひ「別に体調悪いわけでもないし」
和久「まぁ可愛い女の子を見たら元気になるだろ」
えちる「……転校生は……女の……子?」
和久「そうみたいだ」
和久「朝練に来てたクラスのやつが見たらしい」
あさひ「噂もそいつ発信ってわけか」
和久「そんな感じ」
和久「気になるか?」
あさひ「人並みには」
あさひ「お前と違って女子を見ても元気にはならないけどな」
和久「あさひにはえちるがいるしな」
あさひ「……まぁ否定はしないかな」
えちる「……ありがとう……」
和久「2人は相変わらずだな」
そう言って和久は嬉しそうに笑う。
あさひとえちる。
2人は幼馴染で。
少し前から恋人同士で。
確かあの日は……。
あさひは思い出そうとするけれども。
まだ頭がうまく働かないみたいで。
少しぼんやりとしていた。
和久「万年片思いの俺からしたら羨ましけどな」
えちる「生徒会長……格好いいから……人気……ありそう……」
和久「そうなんだよな」
あさひ「まぁ当たって砕けるのもいいと思うぞ」
えちる「うん……男らしくて……格好いいと……思う……」
和久「砕ける前提なのかよ」
そう言ってまた和久は笑う。
和久は生徒会長に片思い中で。
今も雑用をしによく生徒会室に出入りしている。
最初は見た目などで浮いてはいたが。
真面目に、真剣に。
しっかりと学校に貢献するとのことで。
今では次期生徒会長にという声もなくはない。
不良がいい事したらよく見えるだけ。
和久はよく言っているけれども。
和久と一緒に歩いていると。
みんなから挨拶されることが。
凄く和久らしいとあさひは思っていた。