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私が生まれて12年。いろいろあったのです 3




 リカルドへの想いをその場で捨て去ってしまった私は、メイドのローラとの恋を成就させるべく色々と動いた。

ローラに対してきつく当たってみたり、リカルドにそれとなくローラを気にかけるように誘導したり。

騎士になりたいと言うぐらいなのだ、庇護欲を掻き立てる様な女性が好みなのだ。



私に優しく接していたのも、年下の幼い少女だったからだ。それにローラとのイベント発生後、私の魔力値が自分より優れている事が分かってからすぐに態度が変わった。

騎士になりたい少年リカルドは、自分より優れた女性を受け入れ難かったのだ。



「リカルド様」



「ローラ」



私は抱き合う2人をそっと三階の窓からこっそりと覗いていた。

私の屋敷で、木の影になっているといえども抱き合うなんて無用心すぎる。

庭園でパーティーをやっているからといって、人が来ないわけではないのだ。

実際に私は、リカルドが動いた事に気づき屋敷に移動したのだ。他の家人や出席者が気づいていないとは言い切れない。



「君を愛してる。エリーとの婚約を破棄して貰おうと思っているんだ」


「リカルド様!」



盛り上がってまいりました!!

心の中でキャー!!と歓声をあげる。

この王道展開これを待っていたのだ。


前世ならば12歳で何を言ってるんだ?とツッコミを入れるのだが、この世界では18歳が成人。10歳ごろから仕事をはじめる者もいる。早すぎるということもない。


リカルドと私の婚約は領家の利害関係で成り立っていた。

隣同士の領で境界線に湿地帯がある。魔物や獣がある一定の期間に増える事が分かっている為未開の地になっていた。その為、領の境界線が曖昧なのだ。

婚姻を結ぶ事で、境界線の明確化と開拓事業の協力をしあうことになっている。

爵位としては私の方が上で、リカルドは婿になる予定だった。

リカルドは三男であったし、継ぐものがなにも無かった。騎士を目指したのもその為だろう。

末っ子だった事もあって可愛がられていた。騎士を目指すのだからと、領内の事をなにも知らされていなかったし、知ろうともしていなかった。



だから、お家が潰れてしまったのだ。



「エリー。君との婚約を破棄させて欲しい」



パーティーの終盤。

リカルドはローラに言っていた通り私に告げた。

大勢の人がいる前で、ローラを傍に寄せて。



「それは、なぜですか?」



ローラと恋仲になってしまったからだと私は知っていたが、この場ですぐに頷いてしまっては体裁が悪い。



「ローラを愛しているだ。」



「お嬢様!申し訳ありません、私も彼を愛してしまったんです」



2人揃って頭を下げている。



「2人が惹かれあっていたのは知っておりました。出逢ってしまったのなら仕方ありませんよね」



そう言って私は俯いた。

周りの人達に傷ついていると思わせる為に。

心の中では、盛り上がりに欠けてしまったなぁーと、少し残念に思った。




私とリカルドの婚約は破棄された。

リカルドは廃嫡され、騎士になるという夢を失い、ローラも彼の元から去ってしまったという。

ローラの年齢は15歳という事になっていたが、実際は20歳だったとか。貴族間でも市井でも行き遅れと言われそうなギリギリの年齢だった。

私の屋敷に来たのも、あわよくば貴族の妾にと思っていたのだろう。年齢差が逆ならばまだありかも?と思うが、それはだめだろうと知ってから申し訳なくなった。

お父様は私が辱められたと激昂し、賠償を請求した。向こうもメンツがあると分かっていたので、文句を言わず請求通りに支払ったらしい。

一度にお金を失った事と、上位貴族を辱めたという事で色んなことがうまく回らなくなり没落してしまった。

どういった理由でそうなったのかを分かっていた国王は、その領の権利をお父様が引き継ぐ事を命じた。

普通なら新しい領主を据えたりするものだと思うのだが、どうしてそうなったのかはわからない。



貴族三男×メイド(年齢詐称)のラブロマンスはアンハッピーエンドを迎えてしまったのだ。

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