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この世界に居場所は無い  作者: 青髭
転移と出会と手配と
5/22

無力な強者

 食堂は一階にあるらしく階段を降りて左側に進む。

 案内された食堂は既に陽も殆ど沈んでしまっているので仕方がないのだが薄暗かった。

 壁にはいくつも蝋燭が付けられており、二十人程でも座れる長テーブルにも等間隔に燭台が置かれているので手元や足元で困ることはないが現代人であったハイルからすれば少し思うところがあった。


「さぁ、おすわりになってください」

「あ、ああ」


 ミッシェルがそういうがどこに座ったものかと困り果ててしまう。

 机には全てにお皿とナイフとフォークが置いてあるのだ、だが扉付近で控えていたメイドが椅子を引いて促してくれたのでそちらに座ることにした。

 上座から見て左側の三つ目の席にハイルは座る。

 ハイルからしたら入って直ぐ目の前の席だ。

 ミッシェルも慣れたように自分の反対側に座った。

 見たところ夕食はまだ配膳されていないようで恐らくだが当主であるアイゼインを待っているのだろう。


「待たせてしまったかな?」


 五分程だろうか、しばらくしてアイゼインとその妻が食堂へ入ってくる。

 メイドに促されてアイゼインが上座に、その妻が娘のミッシェルの隣に座ると自分たちが入ってきた扉とは反対側の扉が開いて食事を運ぶカートがゾロゾロと入ってくる。

 アイゼインが右手を上げてシェフを呼ぶ。


「今日の献立は?」

「はい、アイゼイン様。良い香草が入りましたので牛肉と一緒に調理致しました。そちらをメインに前菜をシーザーサラダ、かぼちゃのスープ、食後には苺のタルトをご用意させていただきました」

「そうか、今日も期待しているぞ。ハイル君、家ではパンは籠に入れてテーブルに用意するんだ、遠慮なく食べてくれ」

「あ、はい。いただきます」


 つまりは何個食べてもいいよってことだろうか。

 メイドによって食事が並べられるのと同時に籠いっぱいに入れられたバターロールが目の前に置かれた。

 手に届きやすい範囲においたのでハイルとミッシェルの間に一つ、アイゼインの前に一つ置かれた。

 籠の横に瓶とナイフが置かれたので何かと思うとどうやらバターの様だった。

 なんというかレストランに来た感覚だろうか。

 やばい、テーブルマナーなんて小学校の頃に教わったっきりなので全て忘れてしまった。

 えっと、ナイフとフォークは内側カラ?外側から?

 並んでる位置からして右にナイフ、左にフォークだろうからえっと。

 あ、まだ食べてますと食べ終わりましたなら覚えてるぞ!

 八の字に置くのがごちそうさまってやつで…等と頭を巡らせているとアイゼインが声をかけてきた。


「ハイル君、今日は他に客人も居ないので自由に食べてくれて構わない。旅人というのなら作法も何もないだろう」

「あ、はい、すいません」


 アイゼインの気遣いに心から感謝するハイル。

 だが、思わぬところから刺客が現れた。


「ちょっとお父様ハイル様はそんな無作法者ではございませんわ!」

「そうか?」


 ちょっとミッシェルさん!?

 お願いだから今だけは俺をそんな目で見ないでくれぇ!

 ちょっとした妄想を抱いているのかミッシェルから見るとハイルは物語に出てくる騎士なのだ。

 完璧人間と思われているに違いない。


「い、いえ、正直な話テーブルマナーなどもうすっかり忘れてましてもう本当にアイゼイン様の気遣いには感謝してもしたりないというか!」

「ははは、彼もこう言っているぞミッシェル?」

「ハイル様がそうおっしゃられるなら…」


 シュンとするミッシェルには悪いがこんな見た目だが中身は君よりちょっと年上ってだけのチェリーボーイなんです。


「それにしてもハイル君、今君はまるで昔テーブルマナーを教わったような言い方をしていたな?」

「え、あ、はい、昔母親に教わりました」

「あら、そうなんですの」


 そう、あれは地域の集まりで行くことになったレストランでの思い出だ。

 ファミレスとは違って手順があると言われて簡単にだが教わったことがあるのだ。


「ほう、身なりもそうだがもしや君はどこかの貴族の出なのか?騎士甲冑を着ているので代々騎士の家系とか?」

「へ、いや、まあなんと言いますか…」


 困った、こういう時なんと答えたら良いものか。

 便乗するべき?それとも素性は隠しておくべきだろうか。

 後者が無難な気もするが。


「お父様!」


 そこで再びミッシェルが反論を繰り出す。

 今度はハイルも救世主か女神かと思ったが現実は違った。


「騎士家系の貴族出身に決まっているではありませんか!この出で立ち、背格好!貴族でないはずございませんわ!!ねぇハイル様?」

「え、あー、えっと…」

「そうなのかね?」

「実はそうなんです…」


 肯定してしまった。ミッシェルさんあなたって人は!

 心の中で涙を流すハイル。

 だがここでこのままにしておくと後々面倒事が起きそうなので一言付け加えておく。


「で、ですがそれも昔の話です。俺は家を出て旅をすることを決めましたのでもう家とは関係がございません。そこのところを忘れないでください」

「ふむ、そういう事もあるのだろう。わかった詮索して済まなかったな」

「ハイル様…きっとただならぬ事情がおありなのですね」


 よっし、上手くいった。

 これで色々と誤魔化しが効くに違いない。


「では、そろそろ食事にしよう。流石にこのまましゃべっていると冷めてしまうのでね」

「そ、そうですね。俺もお腹はかなり空いてます」

「では頂きましょう」

「はい、お母様」


 すると三人が手を組んで目を瞑り頭を下げる。

 それを見てハイルも少し遅れて同じような格好をする。

 どうやら祈りを捧げているようでこういう光景は海外ドラマなんかで見たことがある気がする。

 日本人としては手と手を合わせたいところだが郷に行っては郷に従え、ローマに行ったらパスタを食べろである。

 四人は祈りを捧げて食事を始めた。


 食事を終えるとハイルは一度部屋に戻った。

 ミッシェルに騎士姿で部屋に来て欲しいと食堂を出るときに言われたからだ。

 部屋に戻ってみると鎧と剣が机の上に置いてあるのでどうやら手入れは終わっているようだった。

 早速いつもの姿に戻ると部屋を出てミッシェルの部屋に向かう。

 既に陽は沈みきっていて廊下はとても薄暗くなっていた。

 窓から差し込む月明かりが照明替わりになってはいるが月の出ていない夜などは絶対に外出はしないことだろう。

 進んで行くと途中で銀髪のメイドとすれ違う。

 切れ目でどこか冷たい印象だが月明かりに照らされた髪はとても神秘的で目を惹かれた。

 と、視線に気づかれたのか声をかけられた。


「失礼ですがお客様、どちらへ?」

「ミッシェルに呼ばれていまして、何か?」

「いえ、場所は分かりますか?」

「あ、はい、一応は…でも少し不安ですねハハ」

「では御案内致しましょう」

「良いんですか?」

「お客様に不自由をさせてはシーフィールド家のメイドの名折れですので」

「じゃあお言葉に甘えて」


 くるっとUターンをするメイドさんに連れられてハイルはミッシェルの部屋へと向かった。

 数分で到着したが一人だったらもう少しかかっていただろうとハイルは思う。


「案内ありがとうございます」

「では、私はここで」


 銀髪のメイドは頭を下げると元来た道を戻って行った。

 ハイルは扉を二度叩いてミッシェルを呼んだ。


「ミッシェル、いるかな?ハイルだけど」

「はい、お待ちしておりました。今少し手が離せなくてどうぞお入りください!」

「失礼します」


 扉を開けて中に入ると客室の二、三倍は広い部屋で中央に机と壁にはソファも置いてあった。

 壁に付けられた蝋燭のおかげでそれなりに明るく本を読んでも目を悪くすることもないだろうと思った。

 本棚も二つ置いてありこの世界の書物に興味を惹かれたが今は画材の準備をしているミッシェルに目を向けた。


「すいません、少々御時間をいただけますか?」

「ああ、俺は構わないけどこの姿の俺を描くのか?」

「はい、ハイル様。その姿が良いのです!私はその姿のハイル様が一番かっこいいと思いますので!」

「そ、そうなんだ、じゃあよろしくお願いするよ」

「それと…先に謝らなければいけないことがあるのです」


 先程までとは打って変わりシュンとするミッシェル。

 ハイルは、はて?と何かミッシェルにされたかなと記憶を辿る。


「今日使用したポーションの件です」

「ああ、あれか」

「あの時私はこの御恩は必ずと言いましたがまだ子供で私なんかがハイル様に渡せるものなど無いに等しいのです。それで…ハイル様が良ければ私の絵を貰って頂きたいのです。釣り合わないのは重々承知しております。ですのでこれはある種の担保と思っていただきたいのです!」

「担保?」


 担保ってなんだっけ?

 タンポポの親戚か何かかな?


「はい、私はハイル様からとても高価なポーションを頂きました。しかし私にお金はありません。ですので必ず返すという意味を込めて私の一番大事な宝物をハイル様に渡すことで清算したいのです…」


 そしたらまた会えるではないですか。そう心の中で呟くミッシェル。


「宝物って…今から描く俺の絵が?」

「はい、私の宝です」


 正直言ってそこまでのものでは無い気がする。

 ハイルからしたら状態異常回復のポーション三瓶程度ならどうということもないのだがそれは言わぬが花。

 それにミッシェルがそこまで言うのであればハイルも頷かざるを得なかった。

 そうと決まればハイルもノリノリでポーズを決める。

 剣を引き抜いて野球のバッターが予告するかの様に掲げる。

 他にも昔学校の掃除の時間にやっていたように剣と鞘を両手の人差し指に乗せてバランスをとる。


「こんな感じでポーズなんてどう?それともこっちの方がすごくない!?」

「ウフフ、それでは描いているうち疲れてしまいますよハイル様。普通が良いんです。こちらの椅子とに座って頂いて剣は鞘に収めたまま両手で杖の様に持って頂いて、背筋は真っ直ぐに…そうです。そういう感じです!」


 歴史の教科書とかで侍がしていそうなポーズと言えばわかりやすいだろうか。

 自分は今正にその姿勢をしていた。

 

「では描き始めますね」

「ああ、よろしく」


 あれから一時間は過ぎただろうか、流石のハイルも体が痺れてきていた。

 広夢の姿なら二十分でそうなっていただろうからこの肉体は大したものである。

 が、しかしながらそれでも耐えることがまあまあ難しものがハイルを襲っていた。

 それは睡魔である。

 思い返してみれば帰宅後ずっとゲームからのこの世界に転移だったのでかれこれ丸一日は寝ていない計算になる。

 そりゃ眠くもなるわ、人間だもの。

 と、そんな俺に気づいたのかミッシェルが声をかけてきた。


「すいませんハイル様長々とお付き合い頂いて、もう後は色を加えるだけなので眠ってしまっても構いませんよ?」

「そ、そう?じゃあお言葉に甘えて、というかもう限界なんで寝ます……」


 言うやいなや寝息をたて始める。

 本当はミッシェルも眠たいのだがこれを完成させなければと思い気を引き締める


「あとちょっとです」


 ――

 ――――

 ――――――。


 無理な姿勢で眠っていたせいか体をビクンとさせるハイル。

 その拍子に目も覚め辺りを見渡した。

 ココドコ?

 ………あ、そうだった。

 ここはミッシェルの部屋か。


「…にしても暗いな」


 窓の方を見てみるとカーテンが半分ほど閉められておりそのせいで暗くなっているとわかった。

 ハイルは立ち上がると窓に近づいてカーテンを全開にする。

 すると月明かりが部屋に入り込み幾ばくか明るくなる。

 振り返ると先ほど座っていた椅子の目の前に布のかけられたイーゼルに目が行った。

 どうやら完成したようでミッシェルはもう眠ってしまったのだろうか。

 右側に目をやると部屋の隣にもう一室あるようでそこが寝室になっているのだろう。

 ミッシェルが何も言わずに放置するとは考えにくいのでもしかしたら自分が寝言で生返事でもしたかミッシェル自身も流石に睡魔に勝てなかったのだろうか。

 一度声を掛けるべきではあるが流石に一人寝ている女の子の部屋に入るのは抵抗があるので絵を見たら部屋に戻ろうと思う。


「それじゃあ完成した絵を拝見させて頂きましょうかね、どれどれ」


 絵に近づいて布を捲り上げる。

 すると…。


「わぁ…これが俺か…」


 正直これ程とは思っていなかった。

 ミッシェルの絵を一枚も見たことがなかったとはいえこのぐらいの歳の少女がここまでの絵を数時間で完成させるなんて予想もしていなかった。

 そこには凛々しい表情で椅子に座る一人の騎士の姿が描かれていた。

 キャンバスの大きさもそこそこ大きいのでハイルの顔や鎧と剣の細かなところがしっかりと描かれていた。


「これは担保にはならないな」


 明らかにこちらが貰い過ぎである。

 これは何か自分もプレゼントをしなければいけないのではと思えてくる。

 だが時間も時間である。

 その話は後日にして今は部屋に戻ろう。

 ハイルは部屋を出るためにドアノブに手をかけた。


 そのまま部屋を出ようとした時だ。

 バタンと何かが倒れる音で足が止まる。

 音はミッシェルの寝室の方から聞こえてきた。


「ミッシェル?起きてるの?」


 返事は無く部屋は静まり返っている。

 と、そこでハイルは自分の剣が無くなっていることに気がついた。

 部屋を見渡しても見当たらず机の上も椅子の下もハイルの剣は存在しなかった。


「まさかね…」


 もしかしたらミッシェルが抱き枕にしてるんじゃと思い一瞬にしてその考えを振り払う。

 流石のミッシェルもそこまでではないと思いたい。

 だがもし自身の剣がミッシェルの寝室にあるというのなら一応は確認しておきたい。

 ミッシェルが盗むとも思えないので明日返してもらえれば問題はないのである。


「いや、待てよ。ミッシェル自身も絵の完成度にこれは釣り合わないと思い俺の剣を先に回収したのでは?…なんてね」


 とりあえず剣がそっちにあるかだけでも確認しておこうと思い寝室の扉を開く。

 ミッシェルを起こさないように極力音をたてないように開く。


「失礼しま~す…ミッシェルさ~んいますか~?」


 返事は無いので寝ているのだろう。

 寝室は私室よりも暗く少しばかり足場が見にくかった。

 ハイルは抜き足差し足で少しずつ歩を進めて自身の剣を探す。

 間取りは私室の半分ほどで暗闇に慣れてきた目がその状況を読み取る。

 真ん中後方に天蓋付きベッドがありその右横に小さい丸机、入口から左側は大きなタンスとクローゼットが見える。

 と、ベッドの右横にハイルの剣が落ちているのが見えたので音をたてないように近づく。


 良かった。ここにあった。

 というかさっきの物音はこれが倒れた音だったのか。

 ハイルが持ち上げるとそこに剣は無かった。

 そう、鞘だけがそこに落ちていたのである。

 ま、まさか!


 ハイルは先ほどの考えを再び蘇らせた。

 そして慌ててベッドのカーテンを払い除けて確認する。


「ミッシェルさん!いくらなんでも抜き身の剣を抱き枕にするのはワイルドが過ぎるってもんですよ………………………………………………へ、へ?」


 ハイルの渾身のツッコミは次第に弱まり、少し経ってから震えた間抜けな音が口から出てきた。

 目を疑った。わからない。何が起きているのか。え?なんで?どういうこと?ドッキリ?

 ハイルの頭をなぜ?だけが支配する。


「ミッシェル?」


 ミッシェルは目を開いていた。真っ直ぐにベッドの天上を見ているが呼びかけに返事は帰ってこない。

 慣れた目がそれを嫌でも認識させる。

 自分の剣の在り処を。

 ガシャンと鎧を鳴らしてハイルはその場に尻餅をついた。


「あ、ああ、あああああああああ!!」


 震えて足に力が入らない。

 顔も引きつって恐怖に染まっている。


「な、なんで、なんで…」


 うわごとの様になんでとしか言葉を発せなかった。

 風が強く吹いてカーテンを押しのけ、月明かりが寝室に入り込む。

 暗かった部屋に多少の明かりが入り込みそれをハイルに確信させた。


『ハイルの剣はミッシェルの胸を深々と貫いていたのだ。』

 

「は、早く助けなきゃ!」


 震える体を無理やり起こしてベッドに這い上がる。

 素早くインベントリを開いて一番効力のあるポーションを実体化させた。

 しかし震える手と高速に脈打つ心臓がそれを焦らせる。

 栓を開けたポーションは手から滑り落ちて中身をベッドにぶちまけた。


「ああクソ!」


 もう一度取り出して今度はミッシェルの傷口にかける。

 そこで剣が刺さったままでは意味がないと気づいて急いで引き抜いた。

 剣を捨てて三度ポーションを使用する。

 だが傷が治る気配は無かった。


「そ、そうだ心臓がマッサージだ!」


 テレビで見た心臓マッサージを見よう見まねで試す。

 両手を重ねて力加減も何もわからないのに始める。

 だが押せども押せどもミッシェルの口から息など出てはこず終いには血が吹き出す始末だ。

 それを見てハイルは心臓マッサージをやめる。


「ど、どうすれば…そ、そうだ魔法がある!」


 俺も一応は聖騎士である。

 僧侶の呪文を習得できるので回復系の呪文が何かあるはずだ。

 すぐさまハイルはステータス画面から習得済みの呪文リストをスクロールした。

 無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い!

 これじゃない、これでもない、これは使えない、ああ、ああ、何にもないじゃないか!!


 基本がソロプレイであったハイルは他人に使用する呪文を覚える必要が無かったのだ。

 リザレクションなどを初めとする蘇生呪文の一切をハイルは持っていないのだ。

 それはアイテムにも言えたことで即死対策の身代わり人形や死亡時に瞬時に働く蘇生アイテムなどは持っているが死亡者に使用できるアイテムは用意していなかった。


 ハイルはその場で項垂れる。

 俺は…なんにもできないのか。

 神様……助けてよ……。

 

 血と鉄の匂いと異臭のする中ハイルはただただ神頼みをすることしか最早できなかった。

 …異臭?

 そう、血の匂いとは別に異臭がするのだ。

 なにかが燃えているような焦げ臭い匂いだ。

 と、其処へ慌てた様子の足音がミッシェルの部屋に響いた。


「ミッシェル様大変です屋敷が火事…」

「あ…」


 血相を変えて走って来たアンナと目が合う。

 アンナの手には照明器具のランタンがあり床に転がった血だらけの剣、アンナも確認しているハイルの剣となんとか助けようとしてなりふり構わず触って全身血だらけになったハイルとその横で目を見開いたまま動かないミッシェルを照らし出していた。


 アンナの手からランタンが滑り落ちる。

 ガラスが割れて火が揺れている。

 

「お嬢様ああああああああああああああああああああああああ!!」

「違うんだ…俺じゃ…無いんだ…」


 ハイルの掠れ出た言葉はアンナの絶叫が切り捨てた。

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