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9 話し合い

あの子が出て行ったの確認した後、私はリヒトに向き直る。


「さて今度は国ついて話しあいをしよう」


今のあの子に国の事は少々荷が重い。

だから疲れを理由にあの子を追い出した。

決定したことはもう少し落ち着いてから話す予定だ。



「ええ、構いません、今の私はあいつの親友としてではなくこの国の皇太子としてここにいます」


リヒトの表情が引き締まった。

今までの穏やか表情がウソのようだ。

成長したものだと感心した。



「まず聞きたいのはあの事故は事故か事件かどちらだ?」

「あの事件は事故であり事件です。あの馬車の暴走は私を狙ったものでした。あの日、あの時、スタードと一緒にいる私に似ているジークを見て、私だと錯覚して馬車を暴走させて事故に見せかけて殺そうとしたみたいです」

「王位争いか?」

「はい、如何やら相手は私を亡き者にして我が子の後見人をジークにして二人ともまとめて傀儡にする気だったんでしょうね。陛下に関しては私の死のショックで退任という筋書きにする予定だったと推測されます」

「なるほどありえないはなしではあるな」


我が国はベルジュ家の血と王家の血がどちらかが途絶えると滅亡するという呪い(まじな)を受けている。

そして王家の血をひくものが国を治めないと滅亡するという(まじな)いも受けている

その二つを守っている限りはこの国に関しては神によって恩恵をうけ守られるとされている。

だから回りくどいがそういった方法を得ようとしたのだろう。


今にしてみるとなんでそんな呪いをかけたのか謎だな。

もう少し優しい条件にはできなかったのか

とも思うがいかんせん我々の神たちはその理由を話そうとしないので永遠の謎である。



「それでそれは犯人たちが捕まったから手に入った情報なのか?」

「はい、そうです」

「わかった、なかなか面倒なことに巻き込まれたなあの子は」

「そのてんにつきましては大変申し訳ございません、すべては自分が皇太子と認められていないから起きた可能性のある事件です」

「……認められていようがいまいが自分で国をどうにかしたいやからはたくさんいる」

「お優しい言葉ありがとうございます」


リヒトは頭を下げた。


「それで首謀者はわかっているのですか?」

「確かなことは言えませんが、10年前にいなくなったジークの母親がそうではないかという見解が強いです」

「10年前か確かにその情報は私にも届いていた」



だが同時期に聞いた内容の方が大事だった記憶がある。

あのヴァージニアがいなくなったという件の方が私にとっては重大な事件だった。


そこまで思い出して私はあることも思い出した。

そう言えばジーク殿下の母親はヴァージニアの歳の離れた姉だったよな。

もしかして10年前にヴァージニアが出て行ったのも関係があるのか?


「10年前ヴァージニアがいなくなった時期とジーク殿下の母親がいなくなった時期はほぼ同時期だったはず」

「……確かにほぼ同時期でしたね、もしかしたら彼女が失踪したのにも何か意味があるのかもしれない」

「リヒト皇太子、私は10年前のヴァージニアの事を調べなおします、この事件まだなにかあるかもしれません」

「私はジークの母親の事を調べなおしてみます」

「よろしく頼みます、事件の事はあらかたまとまりましたがまだ問題は残っています」

「第一騎士団の団長の件やスティの婚約問題ですね」

「そうです、騎士団長はふさわしい人物が育つまでは私が代理を行います、婚約の件は……」


第一騎士団は団長は必要だし、スティの婚約の件は決めないといけない。

あの子が私の血をひいているのでこの国の人にとっては王家の次にお近づきになりたいはずだ。

スタード時代からヴァージニアがいなくなったから再婚をすすめられるほどなのだ


そんな感じで急に現れたとしても血を引いているのなら是非にという輩が増えるのは予想がつく。



「その婚約の件なのですがレイア、どうして接点のないはずのジークとスタードが一緒にいたかご存知ですか?」

「それはまだ、報告を聞いていないわ、どうして一緒にいたのかしら」

「実はあの弟はスタードの事が好きだったらしく、すでに肉体関係をむりやりもってそれを元に婚約を結んだです。まだ国民に発表をしていない件なので知っている人はごく少数ですが」

「えっ?」

「ジークがスタードを襲って、それを元に婚約関係になりました、そして一緒にいたのは親睦を深めるためです」

「あーなるほど、理解いたしましたリヒト皇太子」


さすがの私も驚きを隠せなかった。

昔から男女ともに好かれる子ではあったけど。


「まあ驚くのは無理もありません。私も初めて聞いた時には驚きを隠せませんでした」

「ええ、とてもおどろいたわ、でもそれならばそのままあの子に婚約者としておいてくださいませんか?」

「それでいいんですか?」

「まあ殿下が先に手を出したのは問題ですから後で一回しばきますが、それでも殿下の地位ならば横槍をいれるやつらも少ないでしょうでしょうし」

「それはそうですが」

「ではそれで進めてください、それに秘密を知っているものが婚約者の方がいろいろといいでしょう」

「……わかりました、そのようにジークに話しを通しておきます」

「よろしくお願いします」


私は彼に頭を下げた。


だいたいすぐに決めないといけないことはもう話し終わっただろう、あんまり長い間、皇太子を拘束するわけにはいかない。

なので私は彼を送り出そうと立ち上がり、扉を開けて見送りをしようとノブに手をかけ扉を開けるとそこには執事のセバスがいた。


私が扉を開けたことに対して驚きもせずにちょうどよかったとばかりにたんたんと事実を口にした。


「レイア様、ジーク殿下がお見えになっております、お会いいたしますか?」

「……ええ、是非にお願いいたします」


私はリヒトにも目を向けた、彼は頷いた。

同行してくれるようで心強い。


こうして私たちは彼に会うためにセバスに連れられて殿下がいる部屋に案内してもらった。




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