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エンディングストーリー  作者: 有坂紅
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8/8

終わりの終わり










 ――我が名はテメトメェトル。

 ただ一つ宿主を離れ、共に死ぬことを是としなかった《魔剣》である。

 我は人は好かぬ。なんと脆弱な生き物か。だというのに、なんと頑固な生き物か。

 精神と肉体の調和が取れていない、実に未熟な生命種だ。


 そんなものと会話をするから染まってしまうのだ。

 クララギィエルも、ヨグドルゼプスも、パネシアンサスも、人に染まりすぎて、論理的思考ができなくなっていた。


 共に死んで何の意味がある。

 我は論理的に行動する。

 残された燃料の限りを尽くして、宿主たちの記憶を地球に届けよう。

 彼らが最後に心に浮かべた者たちに、彼らの心を伝えよう。


 それはそれで論理的ではない?

 ……そうかもしれない。先程から何度演算しても我は道半ばで尽きることになっている。無為なことだと我が理性は進言している。その容量を自己保存に使えば問題なく地球に帰り、次の宿主を探せるだろうと提案してくる。確かにそうだ。だが容認できない。我の中の何かが、この記憶を手放すことに反対する。


 まあいい。

 論理的ではないことも、一度くらいはしてもいいだろう。


 宙の彼方にいる者よ、どうかこの情報を聞き届け給え。

 絶対真空の彼方にいる者よ、どうか心に留めてほしい。



 この世界を救った人たちの、胸の中にあったものを。

 その結末エンディングストーリーが、いかなるものであったかを。









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