終わりの終わり
――我が名はテメトメェトル。
ただ一つ宿主を離れ、共に死ぬことを是としなかった《魔剣》である。
我は人は好かぬ。なんと脆弱な生き物か。だというのに、なんと頑固な生き物か。
精神と肉体の調和が取れていない、実に未熟な生命種だ。
そんなものと会話をするから染まってしまうのだ。
クララギィエルも、ヨグドルゼプスも、パネシアンサスも、人に染まりすぎて、論理的思考ができなくなっていた。
共に死んで何の意味がある。
我は論理的に行動する。
残された燃料の限りを尽くして、宿主たちの記憶を地球に届けよう。
彼らが最後に心に浮かべた者たちに、彼らの心を伝えよう。
それはそれで論理的ではない?
……そうかもしれない。先程から何度演算しても我は道半ばで尽きることになっている。無為なことだと我が理性は進言している。その容量を自己保存に使えば問題なく地球に帰り、次の宿主を探せるだろうと提案してくる。確かにそうだ。だが容認できない。我の中の何かが、この記憶を手放すことに反対する。
まあいい。
論理的ではないことも、一度くらいはしてもいいだろう。
宙の彼方にいる者よ、どうかこの情報を聞き届け給え。
絶対真空の彼方にいる者よ、どうか心に留めてほしい。
この世界を救った人たちの、胸の中にあったものを。
その結末が、いかなるものであったかを。




