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終わりの始まり
たくさんの宇宙と生命を生み出した造物主が自らの死を前にして考えたのは、後片付けをしよう、ということだった。
散らかってしまった被造物をすべて片付けて、自分の後に生まれるであろう新たな造物主がやりやすいようにしてやろうと、そう考えたのだ。
そのために幾つもの《崩壊因子》を造り、宇宙を消して回るように定めた。
これで、自分が造ったものはすべて綺麗に消滅するはずだ。
しかしそこで造物主は考えた。無数の宇宙の何処かには、自分が造っていないものが生まれているかもしれない。三つか、四つか、それくらいは自分を出自としない、自ら存在することを始めた特殊な生命があるかもしれない。そう思った造物主は、自らの残り少ない命のすべてを注ぎ込んでより強力な《終焉因子》を造った。
かくして造物主の生み出した《終焉因子》は《崩壊因子》にわずかに遅れて宇宙へと放たれた。
どうようもなくすべてを終わらせるもの。
造物主は消滅の間際に、それのことをエンディングストーリーと名付けた。