4 小骨と獣
その小骨は誰のものだろう?
主はどこへ行ったのだろう?
音の鳴る方へ。
声のする方へ。
「からから小骨」
小骨ぶらぶらぶらさがる。
風に吹かれて、右左。
右に左に、
からからからん。
からからからん、と音が鳴る。
小骨ぶらぶらぶらさがる。
大地の震動、右左。
右に左に、
からからからん。
からからからん、と音が鳴る。
小骨ぶらぶらぶらさがる。
優しくさわられ、右左。
右に左に、
からからからん。
からからからん、と音が鳴る。
小骨はただただぶらさがる。
右に左に、
からからからん。
からからからん、と音が鳴る。
「一本、また一本:おさかな編」
おはしで一本、また一本。
さかなのこぼねは
とるのがメンドウ。
おはしで一本、また一本。
けれどとらずに
のこすのはイヤ。
おはしで一本、また一本。
だってとらずにのこしておくと、
のどにつまってイタイんだもの。
おはしで一本、また一本。
一本一本、また一本。
「単語連想:ほえる」
訳も分からず吠える獣の、
悲しい声を君はきいたか?
訳も分からず吠える獣は、
流れゆく涙を拭くことができない。
訳も分からず吠える獣が、
吠える理由を理解した時、
訳も分からず吠える獣の、
長く苦しい旅は終わる。
◇『からからからん、と音がする』より
「からから小骨」
◇『魚の小骨』より
「一本、また一本:おさかな編」
◇『単語連想』より
「単語連想:ほえる」