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1 遺志
すでに去った者たちの
残していった遺物は、
灰のように白く、
鎖のように繋ぎとめる。
「不必要な想像」
割れた卵の遺志は分からない。
生まれたかったのか、お前。
この鳥籠の中に。
鮮やかな風が草原を渡る。
透明な塊は、
無色ゆえに穢れがない。
それなのに、
生まれ落ちたいと願うのか。
「想像の声」
とけていった命たちが、
耳元で囁く。
誇らしくあれ。
誇らしくあれ。
喰らったのなら、
せめて、
最後まで、
誇らしくあれ。
私の体は、
数多の命で
できている。
「光の遺言」
灰になった螺旋の熱は、
空に溶けて
蒼色へと変わった。
夜には集って星となり、
暗闇の中で呟いている。
あの光が、
彼等の最期の言葉。
次が来るまで、
大地に降りそそぐ遺言。
◇『問題の後に』より
「不必要な想像」
◇書き下ろし
「想像の声」
「光の遺言」-2018/02/02




