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4 少女と青年
少女はいたって真面目だった。
青年の瞳は灰を追っていた。
「シンシなタイオウ」
おもしろそうなものに
てをのばして、
あきたら
すてちゃう。
ポイって。
「それは駄目なことだよ」って
あなたは言う。
わたしはいう。
わたしはシンシにタイオウしてる!
キョーミもないのにやってるなんて
シツレイだよ!って。
「らせん」
白と黒のらせんの階段。
ピアノのけんばんみたいだった。
音は、鳴らなかった。
のぼり終えた所から少しずつ
くずれていって、
ぼろぼろと灰に変わる。
風にあおられて宙を舞う様は、
美しかった。
◇『少女と青年』より
「シンシなタイオウ」
「らせん」