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3 ame
時間と共に移り変わる空。
味わうように眺めていると、
口の中に
飴玉でもあるみたいだった。
溶けると味が変化していく、
飴玉の空。
「朝雨」
はじまりは穏やかだった。
すぐに荒れていった。
やがて落ち着きを取り戻した。
情緒不安定な、朝の雨。
「昼雨」
小さなノック
ぽつぽつぽつ
小窓を叩く雨の音
ぴっちょんぴっちょん
ぴちゃぴっちょん
水面すいめん叩く雨の音
「夜雨」
頭の中がぐるぐる回っていた時、
思考がそれて、音を拾った。
苛立ちは静まり、焦燥は消え、
精神の水面は穏やかになっていった。
夜中に降っていた雨は、
とても静かな音色だった。
◇『ame』より
「朝雨」
「昼雨」
「夜雨」