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4 腐りかけのもの
腐っているのか、発酵しているのか、
それが問題だ。
「発酵:納豆」
そうです。
腐っているのではありません。
発酵しているのです。
似ているようで、
異なるものです。
お間違えないように。
納豆は、
真面目な顔でそう言いました。
「熟成:バナナ」
私の、黒い染みが見えるかい?
これは、腐っているんじゃないんだよ。
私が甘くなっている証拠なんだ。
君が台所に放置している間に、
私は、さらに、おいしくなったのさ。
どうぞ、皮を脱がして、
食べてごらん。
「シュールストレミング」
私は、
ニシンと塩と水だけで、
凄まじい力を手にした。
いささか時間を要するが、
なに、
そこまで長くはかからない。
この身が放つ
かぐわしい香りに、
はたして君は
耐えられるかな?
第3章は、これでお終いです。
◇『腐りかけのもの』より
「発酵:納豆」
◇書き下ろし
「熟成:バナナ」
「シュールストレミング」