ドキドキ!福引き抽選会!
レグルスとミラはショッピングモールに2人で来ていた。1年前に約束を交わしたあのショッピングモールに。しかし、1年前とは明らかに違うところがある。それは、
「なっ、なんか恥ずかしくないか?」
「でっ、でも、恋人ならこれぐらいするんじゃない?」
2人で手を繋いで歩いているのだ。1年越しの約束を果たし、恋人同士になったレグルスとミラ、凛、カンナ。彼らの関係は以前よりもより深いものになっていた。日替わりでミラたち3人とお風呂に入ったり、家を出る時はハグをしたり、外では手を繋いだりとレグルスのハーレム生活はさらに強化されていた。もちろん一緒にお風呂に入るのは、ミラたちから提案してきたことである。ちなみにアルケナはというと、未だにアクセルの家に居候している。
初々しい2人のカップルは手を繋いだまましばらくショッピングモールをぶらぶらと散策していた。
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「ねぇ悠貴。1等がハワイ旅行だって。」
「そんなに期待をするな。外れた時のショックがでかくなる。」
レグルスたちはショッピングモールで開催している福引抽選会いわゆるガラガラを回そうとしていた。期間中にショッピングモール内の対象のお店で5000円以上お買い上げで1回回せるという仕組みだ。先程立ち寄った洋服屋でミラの服を何着か買ったのでたまたま参加条件が整ってしまった。
「せめて3等の神戸牛ぐらいは当ててほしいな。」
「諦めろ。俺は運が悪い男だ。どうせ7等のポケットティッシュだよ。」
「悠貴は夢が無いな~。夢が。でもでも、物欲センサーってのがこの世に存在するって聞いたこともあるし…。よし、外せ悠貴。」
「ものすごい変わりようだな…。」
この福引き、1等がハワイ旅行。2等、温泉旅行。3等、神戸牛。となかなか豪華なものなので。ミラのテンションが上がっても仕方あるまい。しかし、金色の玉が出てきた所なんて見たことないし。ましてや今まで白色の玉しか面識がないレグルスが1等を当てることなんてまずない。たしかにミラの言う通り物欲センサーというものがあったりもするが、『諦めている』のと『物欲がない』というのはまた別の気がする。
まぁ運任せのこれには色々と考えるだけ無駄なのでとっとと済まして帰ろう。
「じゃあ回すぞ。」
「がんばってね悠貴!」
「何をだよ…」
ミラと一言交わし、レグルスはガラガラの方に目線を向け、取っ手に手をかける。
「────ッ!?」
取っ手を握った瞬間、雷に撃たれたかのような感覚に襲われた。なんだこの妙な緊張は?別に緊張するような場面ではないのに、ハズレを引くとわかっているのに、それでも後方に立つ恋人を喜ばせたいという感情が漲ってくる。
乱れる呼吸を整えて、逸る気持ちを落ち着かせ、精神を統一させる。手には大量の汗をかいている。
レグルスはゆっくりと回し始める。人で賑わっているショッピングモールの騒音は今のレグルスの耳には届いていない。唯一レグルスの鼓膜を刺激しているのは、福引きの『ガラガラガラ』という音だけだった。
『カランッ』
玉が落ちる音がした。レグルスとミラは玉の方へ視線を向ける。レグルスが引いた玉の色は…
「金…だ…。」
「おめでとうございま~す!!大当たり~!!1等のハワイ旅行が当たりました~!!」
赤いはっぴを着た受付のお兄さんが勢いよくベルを鳴らし、1等が出たことを祝福する。
「さっすが悠貴ね!私たちが見込んだだけあるわ!これでハワイに行けるね!」
「まだ当てたって実感が持てないな…。」
気づけば福引き抽選会の周辺にはたくさんのギャラリーがおり、盛大な拍手がレグルスたちに贈られる。
レグルスは景品のハワイ旅行ペアチケット3枚を両手で受け取り深々と一礼をする。まるで卒業証書授与式かのように。
「ペアチケット3枚ってことはアクセルたちを入れた6人全員で行けるな!」
「なんだか運が良すぎない!?槍が降ったり、大地震が来たり、地球が爆発してりしないよね!?」
「やっ、やめろよ。そんなのフラグでしかないから…」
そんな他愛ない会話を交わしながら2人は手を繋ぎその場をあとにした。
この時のレグルスたちは大地震なんかよりもっと恐ろしい、仲間を失うかもしれない自体に遭遇することになるとは知る由もなかった。




