特別番外編 聖なる日【クリスマス】の1日
今年も残すところ1週間となったクリスマスの日の朝。レグルスたちにもクリスマスが訪れていた。ミラと、カンナがクリスマスパーティをしたいと言い出したのがきっかけで現在に至る。
リビングは装飾が施され、クリスマスツリーには明かりがついており、クリスマスの雰囲気を醸し出している。
「今までクリスマスを家族以外の人と過ごした事がないからなぁ。なんか新鮮だ。」
と、レグルスが呟く。
彼女いない歴イコール年齢であるレグルスは人間橋中 悠貴であった時のクリスマスの過ごし方は家族と一緒だった。クリスマスプレゼントである新しいゲームを1日中やって、夜になったらクリスマスケーキを食べながら特番を見る。そんな感じだった。
「亜人界にはクリスマスってあるの?」
ふとレグルスが疑問を問いかけてみる。
「1年には区切りがあるっていう概念はあるけどクリスマスみたいなこういった行事は特にはないかな」
「だからみんな楽しみにしてるんだよぉ。」
と、凛とミラが答える。
亜人界での1年の周期はこの世界と同じ。クリスマスだとかお正月だとかバレンタインだとかそういった行事はないらしい。
まぁ、何100年も戦争を続けてたのだから仕方ないのか。
「なぁ、凛。ちょっといいか?」
「えっ。まぁいいけど。」
レグルスは凛を連れて隣の部屋に入っていった。
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「何がいいかなぁ?」
「さぁな?俺は女の子じゃないし、元々人間なんだからさっぱりわかんねぇ。」
「悠貴から誘ってきたくせに。」
【10分前】
「で?話って何?」
「ミラとカンナにクリスマスプレゼント買ってやろうよ。」
というレグルスの提案から始まった。
クリスマスと言えばとレグルスなら「クリスマスプレゼント」と答える。親からプレゼントを貰った時は最高に嬉しかったことを覚えている。クリスマスプレゼントには特別な何かがあるのだ。
だから、ミラやカンナにもその嬉しさを味わって欲しいとレグルスは思ったのである。
「でも、俺だけじゃ何買えばいいかわかんねぇから凛も一緒に来てくれねぇか?」
「いいけど、ミラたちに内緒でどうやって家の外に出るの?」
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ミラたちには「夕飯の食材を買いに行ってくるから」と伝えて家から出てきた。そのためミラたちは今も家でクリスマスの装飾に励んでいる。
「だったら2人で別々にしよ?私はカンナの分買ってくるから。」
「じゃあ俺はミラの分だな。よぉし対決だ!」
「なんでそうなるのよ…。」
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「とは言ったものの何買えばいいんだ?あいつ何か好きなもんあったかなぁ?」
ぶつぶつ独り言を言いながらショッピングモールを散策すること30分。なかなかいいものが見つからないものだ。
女の子向けのおもちゃを買おうとするも、ミラが既に20歳を軽く上回っていることに気づき、かと言って女性ものを買う気にはならず、現在に至る。
「買ってくれたものなら何でも嬉しいとか言うけど、実際買う側はけっこう悩むんだなぁ。」
簡単に花を買って済ませることも出来るが流石にそんなことはしないし、どうせなら一生残るものにしたい。
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「カンナって何歳なんだっけ?」
一方の凛は幻想的な田舎の道を歩いていた。ここは人間界ではなく亜人界のドラゴンの村である。
「村長さんこんにちは~。」
大きな洞窟の前に立ち凛は挨拶をする。
すると奥の方から心に響くような唸り声が聞こえてくる。その反応を聞いて凛は「お邪魔しまーす」と言って奥の方へ姿を決していった。
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「あの、カンナ・カムイにプレゼントをあげようと思ってるんですけど、何をあげたら喜んでくれますかねぇ?」
「なんじゃ?今日はやつの誕生日じゃったかのぉ?」
「いえ、でも今日は人間の世界では特別な日でして、それで。」
この人はカンナの生まれ故郷であるドラゴンの村の長である人物だ。
凛は村長に事情を話して、意見を聞こうと考えたわけである。
「あいつは昔から『カワカルララバコウサギ』が好きじゃったのぉ。参考になれば幸いじゃ。」
「ありがとうございます!参考にしますねっ!」
と言って凛は洞窟を後にした。
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今夜の夕食はそれはそれは豪華なものだった。ローストチキンや、ピザなどかなり奮発した料理だった。テレビの特番を見たり、トランプなどのカードゲームなどをしたり、ミラや、凛、カンナはもちろんの事、元々人間であるレグルスでさえもこれほど楽しいクリスマスは初めてだった。
「クリスマスってこんなに楽しいんだね。」
ミラと、カンナが口を揃えてそう言った。凛も楽しそうにミラたちを見ている。
今年の春に初めて亜人ミラ・シリウスに出会って以降、いろんな亜人に会ってきた。時には学校の屋上から飛び降りたり、ある時は山で雷に打たれたり、ある時には殺されたこともあった。でもそんなことも全部まとめて、ミラと出会えてよかったと心の底から思っている。自分を頼ってくれる人が出来た。自分が頼れる人が出来た。自分を好いてくれる人が出来た。自分が好きな人が出来た。自分を守ってくれる人が出来た。自分が守ってやりたいと思う人が出来た。どれもこれもみんなミラと出会えたからこそ出来たものなのだ。
「ミラ俺からのクリスマスプレゼントだ!」
レグルスはミラにロケットを買ったてあげた。中にはいつの日かミラと2人で撮ったプリクラが入った世界に一つだけのロケットをミラに贈った。
「わぁ~。ありがとう。悠貴!」
「私からはカンナに。これを。」
「うぇっ!?凛!!お前何買ってきたの?」
凛は何食わぬ顔でカンナにそれをプレゼントする。
村長さんの意見に参考にしてカンナのために狩って来たもの、それは、
「『カワカルララバコウサギ』よ。」
「うわぁ~。ありがとう!」
「どういたしまして。」
見慣れない光景に呆気に取られるレグルス。
「聞いたことねぇがよく出来たぬいぐるみだなぁ。」
「ぬいぐるみじゃないよ。亜人界で狩ってきたの。ドラゴンの村長さんに聞いて。」
「何でそうなるんだ!何か買ってくるんじゃんなかったのか!?」
「えぇっ!?狩ってくるって、狩るんじゃないの!?」
なんかいい雰囲気だったのに、2人によって壊された感じもするが、これが彼らの日常である。穏やかで、平和な時間がレグルスたちをにも過ぎていった。
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「ミラたち疲れて寝ちゃったわね。」
「朝から装飾して、パーティーの時にあんなにはしゃいでたらそりゃ眠くもなるわな。」
家の電気を消して、月明かりと街の光だけを頼りにした部屋で椅子に腰掛け、ミラたちの寝顔を見ながら2人は話していた。
「まさか悠貴があんなもの買ってくるとは思わなかったわ。」
「それはこっちのセリフだ。あんなもん狩ってくるとは思わなかった。そうだ、凛。都会に行かないか?」
「えー。今から?寒いから嫌だよぉ。」
「俺とデートするの嫌か?」
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「寒ぅ。今年は一段と寒ぃな。」
「だから言ったじゃない。で?何の用?」
凛がレグルスに疑問を投げかけたのと同時にレグルスが足を止めた。
立ち止まったレグルスに「ねぇ?」と声をかけつつ凛もレグルスの隣に立つ。
すると、
「────ッ!?」
一瞬にして、辺りが明るくなる。
都会の外れに設置された巨大クリスマスツリーに明かりがついたからだ。
その巨大ツリーには大迫力という言葉が最適解だ。金や、青、翠や、ピンク色をした美しい玉や、金銀に光る星など豪華な装飾が施されており、老若男女問わず見る者を全てを魅了し圧巻する。
「これが俺からの凛へのクリスマスプレゼントだ。いつもありがとうな。凛。」
いつもは恥ずかしくて言えない感謝の気持ちをこの場を借りて言ってみる。
でもやっぱり恥ずかしいのであえて凛の方を見ずに言った。が、返事が来ないので、凛の方を見てみると、ツリーに見とれている。
「あのぉ~。凛さん?俺が言ったこと聞いてました?」
「えっ!?何か言ったっけ?ごめんもう一回言って。」
「恥ずかしいからやめときます。」
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巨大クリスマスツリーの迫力にその場に立ち尽くすことしかできない2人。辺りには恋人同士と思われる人たちで溢れかえっている。
「周りからは私たちも恋人同士に見られてるのかなぁ?全然そんなんじゃないのにね。」
「さぁな?俺にはわかんねぇ。けど、周りからどう見られたっていい。俺たちは俺たちの関係を築いていけばいい。」
聖夜という特別な日の雰囲気と、その場にいる人たちを魅了するツリーの迫力という不可抗力でレグルスと凛の手は優しく、でも離れないように強く繋がれていた。
~完~
【あとがき】
皆さんクリスマスをどうお過ごしでしょう。
僕はクリスマスを一緒に過ごす『恋人』がいなければ、どこかに出かけるような『友達』がいない(僕の友達は引きこもりばっかりなので基本奴らは学校行く時か、アニメとかゲームのイベントの時ぐらいしか外に出ない)ので、家でゲームをして、アニメを見て、家族と過ごしています。
今まで読んで下さっていた方も、この話を初めて知った方も、これからも頑張って行くのでどうかよろしくお願いします!
また1月1日にも特別番外編あげるつもりです。
どうか、よい1日を。(この話を投稿するのは夜だから1日も終わりの方だけど)




