非日常の訪れ
朝の日差しがカーテンの隙間から差し込み、レグルスたちに朝が来たことを告げる。朝に強いミラと凛は目覚めるとまず洗面所に向かい顔を洗う。その後に昨晩決めておいた服を来て共に朝ごはんを作る。
ミラも凛も初めてこの世界に来た時に比べて、この世界のごはんを作るのが随分と上手くなった。
朝食作りも終盤になった頃にカンナが起きてくる。いつものようにカンナの髪の毛は寝癖でボサボサである。
一方、朝に弱いレグルスはみんなが朝ごはんを食べ終わった頃に起きてくる。
「また夜遅くまでゲームしてたの?」
「早く寝ないといけないって教わらなかったの?」
「確かに、早寝早起きは大事だって教わったけど。もう親がいないも同然だし…」
「ダメ、悠貴の保護係の私が許しません!」
この会話も日常の一部である。
毎晩夜遅くまでゲームやらなんやらで寝るのが遅いレグルスにミラと凛が注意する。
特に凛は一番年齢が高いという理由でレグルスの保護者のような存在、『保護係』として任命された。レグルス猛反対だったが残りの3人が賛成。多数決で決まった。
ちなみに見た目はレグルスと同じ高校生ぐらいの凛だが、さすがはエルフ族。こう見えて100歳は軽く越えているらしい。
普段から食べるのが遅いカンナは毎朝レグルスと一緒に朝ごはんを食べる。
食べ終わったら服を着替えて顔を洗って、毎朝の日課である散歩に4人で出かける。
学校にいく必要が無くなったレグルスはとにかく暇なのだ。
「ちょっと飲み物買ってくるよ」
そう言って、レグルスは自販機の方へ向かっていく。
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「───ツ」
自販機を探している最中に茂みの中から何者かの気配を感じた。
「でも今はミラたちを待たせてるし…」
その時は自分に気のせいだと言い聞かせ、その場を後にした。
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「ごちそうさま!」
ミラが作った昼ごはんの焼きそばを食べ終え、満足げにそう言った。
「そんなにいい声で言ってくれると作った甲斐があったよ。」
「にしても本当に料理上手くなったな。初めはインスタントラーメンすらまともに作れなかったのに。」
「そりゃあ花嫁修業の一環としてやってるんだもん。当然料理も上手くなるよ~」
そんな他愛ない会話を交わしている時、
『ピンポーン』
と、インターホンが鳴った。
普段インターホンを鳴らすのは宅急便か、新聞の集計のために来る人ぐらいしかいないので誰だろうと思いながらレグルスは扉を開けた。
「────ツ」
そこには全身を黒で包んだ体長190cmほどの細身の男が立っていた。男の犬歯は獣のように鋭く、妙なマントを羽織っている。
「ミラ・シリウスはいるか?」
男がそう言った。一瞬レグルスは何を問われたのか理解するのに時間がかかった。
それもそのはず目の前の男が言った人名、
「なんであんたがその名前を知ってるんだ。」
「質問に答えろ。ミラはいるかと聞いている。」
話しを聞く気が無いらしい。一方的に質問され、レグルスは本当のことを話すかどうか考えていると、
「悠貴~どうしたの?」
と奥から呑気にメロディを奏でて、行ったっきり戻ってこないレグルスの様子を見に来たミラはその男を見た瞬間、口を手で塞いだ。
「ーーお義兄様が…どうして…ここに……。」




