ひょん所で再び会う
石段を上がり、鳥居を越えると大きな社が目に入った。
「でっかい、社だな~、こんなに大きい社は初めて見たぜ」
「地元では有名な神社ですもの。これくらいの大きさがあっても不思議じゃないわ」
そう言って、小松の婆さんは持ってきたぺっとぼとるを持った。
「わたしはこれから水を貰いに行きますから、あなたは好きにしていてくださいね」
「俺も手伝うか?」
「いえいえ、ここまで持って来てくれた上に、帰りも持ってくれるのですから貰うくらいは、わたしがしますから」
「そうか、ならいいが」
「申し訳ないけど、すこし待っていてくださいね」
「おう、すこし、この神社の中を適当に歩いて時間を潰すわ」
婆さんが社務所に向かった。俺は社の中を適当に歩き回った。
神社の中を歩き回って、何か面白いものはないかと探した。
すると、なかなかお目に掛かれないものが見つけた。
屋根がを四本の柱で支えて、四方の壁が取り払われている。
「これは、初めて見る建物だな・・・・・・」
何をする為の建物なのか気になった。
「ここは神楽殿と言って、神楽を奉納する為の場所です」
後ろから声が聞こえたので、振り向くと先程助けた巫女服の女が居た。
「お前、さっきの」
「先程はありがとうございました」
「確か、紅葉とか言ってたな」
「はい、そうです」
「ここの巫女か?」
「ええ、母がここの神主をしていまして、わたしも母の手伝いをしています」
「そうか」
「十河さんは、何故ここにいるのですか?」
「ちょっとした縁でな、そう言えば、あの二人は如何した?」
「華怜達の事ですか? 二人でしたら、もう少ししたらここに来ますよ」
「はぁ? 何でだ?」
「今日は遊ぶ約束をしているのです」
「あんな騒ぎがあって、よく遊べるな」
「違いますよ、あんな騒ぎがあったから、その鬱憤を晴らすために遊ぶのですよ」
「そうか。そう言えばあの後どうなった?」
「ちょっかい掛けた人達が警察官に連れられて、わたし達は事情を説明したら、直ぐに解放されました」
「なら、良い」
俺が黙ると、紅葉は何も言わず俺を見る。
(なんか、楓と話していると、こんな事が良くあったな)
竜胆に会いに行って、本人に会えず、仕方がなく楓に会って暇つぶしにの相手をしてもらった。
楓からしたら、竜胆の代わりに相手をしてもらっているのに、嫌な顔一つせず相手をしてくれた。
相手をしてもらって悪いなと言うと、楓はいつもこう言った。
『気にしないで下さい。わたしも覇吐鬼様の相手をするのは楽しいですから』
笑顔で言うので、思わず頭を撫でてしまう。
何で、楓は俺の相手をするのが楽しいのだろうなと、竜胆に訊ねた事があった。
『わたしが知る訳なかろう。この女たらしがっ‼」
何故か怒られた。




